2022 Fiscal Year Research-status Report
ポリコームの発生時期依存的な発現ダイナミクスと細胞分化ポテンシャルの関係性の解明
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22K15118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
椙下 紘貴 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任助教 (30881643)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリコーム / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞が特定の分化運命にコミットすると、それ以外の分化運命に関わる遺伝子群は発現抑制される。この分化遺伝子群の抑制において、ポリコーム群タンパク質(以下、ポリコーム)が中心的な役割を果たすことが知られている。ポリコームは基本的には複合体(ポリコーム複合体)を形成することで転写抑制に寄与する。ポリコーム複合体には様々な種類のバリアント(構成因子の異なるポリコーム複合体)が存在するが、構成因子の機能の違いについては必ずしも明らかになっていない。本年度は、ポリコーム複合体構成因子において神経幹細胞の分化能の転換過程で発現変動の大きい因子に関してChIP-Seqを行った。その結果共局在する領域だけではなく特定の因子に依存するような領域があることを発見した。また免疫染色をおこなったところ、同様の傾向が見られた。多重染色を行うためにラベル化抗体の作製やエピトープタグノックインマウスの作製も行いワークチェックを行なった。次年度ではこの作製した抗体やエピトープタグノックインマウスを用いて共局在性を検証し、それぞれの特異的因子による制御の詳細を明らかにしていく。また、ニューロンでは細胞分裂が起こらないので、遺伝子ノックアウトを行った際にタンパク質が完全に枯渇するまでに時間がかかってしまうのが問題となる。そのため、今年度にポリコームの制御を今後解析していくためプロテインノックダウンの実験系を導入し実験系がワークするのを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では多能性幹細胞が終末分化細胞へと分化する過程で、ポリコームの構成因子の発現変動とポリコーム複合体の構成の変化が遺伝子の抑制様式にどのように関与しているかを明らかにすることを目的とする。本研究課題ではES細胞(多能性幹細胞)、神経幹細胞(組織幹細胞)、ニューロン(終末分化細胞)で発現の変動が大きいポリコームに注目した解析を行う予定であったが、現在神経幹細胞では各種ポリコームのChIP-Seqや免疫染色を既に実施し新しい発見を得た。また、ニューロンでは翌年度の準備として実験系の確立を行い、予定通り進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ニューロンやその活動刺激におけるポリコームの各因子の結合変化を解析するとともに、本研究の最終目的である仮抑制、永続抑制の選択機構について明らかにしていく。
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