2022 Fiscal Year Research-status Report
Reconstruction of cartilage morphogenesis and growth using limb organoids and analysis on its cellular basis
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22K15122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤 璃水 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (60876241)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肢オルガノイド / 四肢発生 / 軟骨形成 / 形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト・マウスの部位・種固有の四肢 形態形成を司る細胞メカニズムの解明を目的とし、全能性幹細胞を、位置情報を付与したうえで三次元的に培養し、四肢形態形成および成長を培養下で再現する実験系を世界ではじめて確立する。これまで、肢間充織から三次元的な軟骨形態形成を培養下で起こさせる実験系が存在しなかったため、初年度はまずマウス胚由来の肢間充織を使って、位置情報に応じた形態形成を再現する実験系の確立を行った。モルフォゲン存在下で三次元培養を行った結果、RA存在下では小さな球形を保って軟骨分化し、Fgf・Wnt存在下では複数の軟骨が放射状に分化・成長していくことがわかった。このとき、組織の形態変化を起こすための細胞の移動を記述するため、エレクトロポレーションで細胞の核をラベルし、インキュベータ型二光子顕微鏡を用いてライブイメージングを行った。そのうえで、四次元画像を解析し、細胞の移動を追跡した。この解析により、細胞塊がその対称性を破る仕組みを明らかにできた。また、Fgf・Wnt存在下で組織が伸長する分子メカニズムを調べるための足掛かりとして、PICと呼ばれる実験手法で組織の基部と先端部のトランスクリプトームを比較し、基部と先端部のマーカー遺伝子を同定した。 一方、ヒトES細胞からの四肢の分化系においては、途中まで二次元で培養して途中で三次元培養に切り替えることで、側板中胚葉から上皮間充織転換を経て肢芽間充織様の細胞が生じる様子を再現することができた。今後は、マウス胚由来の肢間充織を使ったオルガノイドにおいて対称性が破れる仕組みに関する知見を活かして、ヒトES細胞由来の肢間充織を使っても四肢の組織伸長を再現する実験を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織の形態変化を起こすための細胞の移動を記述するためのライブイメージングによる実験条件を確定し、十分なサンプル数で四次元画像を取得できたこと、さらに、基部と先端部のマーカーを同定できたことは想定通りの成果であった。一方で、グラジエントを導入した培養環境の構築に関しては、目標を達成するまでには至っていない。ただし、対称性が破れる仕組みについては想定以上に明らかな結果を得ることができ、これを前提に細胞レベルの挙動がどのように組織レベルの形態変化を起こすかということについて、画像の数理解析及びシミュレーションを元に理解するための共同研究体制を構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス胚由来の肢間充織を用いたオルガノイドにおける対称性の破れ、および組織の形態変化を駆動する仕組みとして、当初は生化学物質の生成・拡散・分解を主に考慮したTuring modelを想定していたが、現状の実験結果を元に考えると、細胞同士の移動や細胞接着性を考慮したモデルが必須であると考えられる。細胞核の動きについての四次元画像を自動処理し、どのような挙動が組織の形態形成に寄与するかを定量解析、およびシミュレーションを用いて理論化する。特に、また、異なる培養条件、培養日数においてサンプルを回収し、single cell RNA-seqを行い遺伝子発現変化と細胞挙動の変化を統合して理解する。 これらの理解をもとに、ヒトES細胞由来の肢間充織様の細胞を用いて位置情報を操作する培養条件を確立する。さらに、オルガノイドが伸長し続ける培養条件を同定する。
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Causes of Carryover |
培養環境に濃度勾配を導入するデバイス開発についての研究が若干遅れており、それに対する実験費用を次年度に繰り越すことにした。
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Research Products
(5 results)