2023 Fiscal Year Research-status Report
TGF-βシグナル伝達に関わる核膜蛋白質の小胞体-核輸送制御の解析
Project/Area Number |
22K15128
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
佐藤 夢子 (小林夢子) 帝京大学, 先端総合研究機構, 助教 (00756447)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 核膜蛋白質 / Lemd3 / 細胞内局在 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
核内膜蛋白質のLemd3は、TGF-β経路の下流で作用する転写因子のSmadを核膜近傍に捕捉することで、シグナル伝達を抑制すると考えられている。しかしLemd3の細胞内局在を細かく観察すると、核膜だけではなく細胞質中の膜小胞にも滞留することが見出された。そこで、Lemd3の細胞内局在変化が下流のシグナル伝達や胚発生にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることにした。これまで、TGF-β/アクチビン存在下のLemd3の局在変化を検討するため、蛍光蛋白質のVenusを繋げたLemd3(Venus-Lemd3)をアフリカツメガエル初期胚に発現させ、アクチビン存在下での細胞内局在を、共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。その結果アクチビン処理を行うことで、Lemd3の膜小胞局在が増加する事が確認できた。この時、ツメガエル胚にアクチビン溶液を添加し、TGF-/アクチビンシグナルを過剰に活性化させたことで、細胞にストレスが生じ、小胞膜輸送に影響が起きた可能性が考えられた。そこで様々なストレス誘発剤の暴露実験を行った。その結果、小胞体ストレス誘発剤 (ツニカマイシン) 処理によって、膜小胞でのLemd3の局在が確認できた。以上のことから、Lemd3の細胞内局在が、アクチビン処理によって生じた小胞体ストレスによって制御される可能性が新たに考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lemd3の局在変化は検討済みである。 現在、Lemd3の局在変化がアクチビン処理によって生じた小胞体ストレスに依存するかを検討するために、アクチビン受容体のドミナントネガティブ変異体をツメガエル胚に発現させ、TGF-β/アクチビンシグナルの活性化を阻害した状態でのLemd3の局在を検討している。この条件下でツニカマイシン処理を行い、Lemd3の膜小胞での局在が確認できれば、小胞体ストレス依存的なLemd3の局在変化を示すことが出来る。これに先駆け、アクチビン受容体のドミナントネガティブ変異体をクローニングしているところである。当初予定していなかった結果が得られたが、現在までの進捗状況は、おおむね計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、小胞体ストレスと核膜蛋白質の輸送制御という新たな展開が期待される。ツニカマイシンだけでは無く、タプシガルギンなどの別の小胞体ストレス誘発剤を用いて同様の実験を行い、小胞体ストレスとLemd3の細胞内局在との関連性を調べる。光学顕微鏡だけでなく、過型電子顕微鏡を用いて、核膜や小胞体などの膜オルガネラの微細構造を確認し、アクチビンや小胞体ストレス誘発剤存在下での変化を検討する予定である。 また、Lemd3の局在変化が下流のシグナル伝達に影響を及ぼすかを調べるため、qRT-PCRや全胚ISH、TGF-β特異的ルシフェラーゼレポーターアッセイなどで確認する予定である。
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Causes of Carryover |
実験などで試薬や器具を使用するよりも論文をまとめる事に集中していたため、当初よりも物品費がかからなかった。次年度は国際学会に参加予定であるため、その旅費に使用する。
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