2022 Fiscal Year Research-status Report
脊椎動物器官発生における遺伝子制御活性解析による進化と発生の反復傾向の実体解明
Project/Area Number |
22K15133
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上坂 将弘 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20756499)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 反復説 / 遺伝子発現制御 / エピジェネティクス / 進化発生学 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物の発生には、進化的に古い特徴から新しい特徴へ順番に現れる傾向があるように見える。申請者らは最近、発生過程における遺伝子制御領域の活性動態を解析し、この反復傾向を支持する結果を得た。しかし、この反復傾向の背後にはどのような遺伝子制御や発生プロセスが存在するのかは殆ど明らかになっていない。本研究は、多種多様な細胞種を含む全胚レベルの解析では不明だった、反復傾向の遺伝子制御実体を、器官レベルでの解析により明らかにすることを目指す。 今年度は、まず器官レベルのATAC-seqを行うのに最適な器官の選定を行った。サンプルとする生物種の入手の容易さ、サンプリングの可否、リファレンスゲノムの質を基準に決定した。当初の予定通り、ニワトリ胚の前肢芽、器官の多様性を考慮して、三胚葉それぞれから発生する器官である前脳、心臓、肝臓をサンプルとすることとした。 また、本研究課題の基盤となる各発生段階の器官をサンプルとしたATAC-seqデータの取得を目指し、条件検討を行った。ニワトリ発生胚(HH28)の前肢芽をサンプルとし、ATAC-seqライブラリの調整を、ホモジナイゼーションバッファーとタグメンテーションバッファーの組成において複数条件用意して行った。これら複数条件のライブラリからシーケンスデータを取得して、リードペアのフラグメントの分布パターン、シグナルノイズ比、ミトコンドリア由来のリード数量などの指標で最適な条件を検討、決定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究代表者の所属の変更により研究環境が大きく変わったが、必要な設備や環境のセットアップが滞りなく進んだことと、ATAC-seqのサンプルの選定とライブラリ調整の条件検討を順調に進めることができた。そのため、今年度の進捗状況としては、概ね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果をもとに、ATAC-seqのライブラリ調整を引き続き進めていき、必要なデータの取得を完了させる。また、マウスのデータについては公共データベースを利用してデータ解析を行い、ニワトリの解析結果との比較を行う。
|
Causes of Carryover |
今年度は、分子生物学実験試薬とシーケンス外注が、当初の想定より少なかったために、次年度使用額が生じた。 生じた次年度使用額は翌年度分の助成金と合わせて、分子生物学実験とATAC-seqシーケンスのために使用する計画である。
|