2022 Fiscal Year Research-status Report
有性生殖の成功に向けた茎頂分裂組織による個体統御機構の解明
Project/Area Number |
22K15140
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
肥後 あすか 名古屋大学, 高等研究院(遺伝子), 特任助教 (70812387)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 茎頂分裂組織 / 花成 / シグナルペプチド / 老化 / 受容体キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の地上部の起源となる茎頂分裂組織の生殖成長への運命転換である花成の後には、有性生殖の成功に向けて様々な器官で成長様式の変化がしられているが、次世代を残すために個体全体でこれらの成長を協調的に制御するメカニズムは不明である。これの制御機構の解明に向けて、花成をきっかけに茎頂分裂組織で発現が上昇する分泌型ペプチド性シグナル分子のスクリーニングを進めた。また、花成後にみられる成長変化のうちでも有性生殖の進行との調節が特に重要と考えられる老化の開始の調節機構に関する研究を進めた。 花成後の茎頂分裂組織付近で発現が変動する遺伝子を独自のRNA-seqデータからリストアップし、それらのレポーター系統の観察により花成前後の茎頂分裂組織付近での詳細な発現解析をすすめた。興味深い発現パターンを示した遺伝子について、遺伝子の欠損変異体の整備を進め、生殖成長時の表現型の観察を順次進めている。 また、老化開始時期の調節機構の解明に向けて、早期老化開始の表現型を示す新規受容体キナーゼファミリーの変異体の解析を進めた。遺伝学的な解析およびRNA-seq解析により、着目している受容体キナーゼが、葉の一連の老化経路全体の開始時期の調節に機能している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はおおむね計画していた通りに研究を進めることができた。花成をきっかけに茎頂分裂組織で発現が上昇する遺伝子の探索について、発現パターンの解析結果から想定していたよりも多くの遺伝子が解析候補として残ったために、変異体の整備等に予定よりも時間がかかっている。発現パターン解析の結果を踏まえて、詳細な機能解析を行う候補遺伝子に優先順位をつけて、更なる解析を進めているところである。有性生殖との進行の調節が特に重要であると考えられる老化については、その開始時期の決定機構を明らかにするための足がかりとなる結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
花成前後の茎頂分裂組織付近で興味深い発現パターンを示す遺伝子の欠損変異体の整備と表現型の観察をすすめ、興味深い表現型を示した遺伝子について、研究計画に沿ってその機能解明を順次進めていく。 老化の開始時期の調節に関わっていると考えられた受容体キナーゼについては、その制御標的の同定を行うことで、植物の老化開始時期の調節機構の解明を進める。これまでは、葉という器官レベルの老化制御に着目して研究を進めてきたが、今後は葉の老化について得られた知見をふまえて、さらに個体全体の老化に着目した研究を展開していく。着目している受容体キナーゼファミリーの多重変異体は、早急な個体の老化表現型がみられるため、この変異体を足がかりにする。
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Causes of Carryover |
今年度は所属研究室に既に整備されている機器で十分に実験が行えたため、予定よりも使用額が少なくなった。次年度は所属研究室の人員数がさらに増えるために、次年度に自身で植物を栽培するための人工気象機など大型の機器を購入することとした。
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Research Products
(1 results)