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2022 Fiscal Year Research-status Report

Elucidation of the regulatory mechanism of coronary vessel formation by cardiomyocytes at the atrioventricular canal

Research Project

Project/Area Number 22K15156
Research InstitutionYamagata University

Principal Investigator

千葉 彩乃  山形大学, 医学部, 講師 (10794159)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2024-03-31
KeywordsWNT/βカテニン / 冠血管 / 動脈化 / ゼブラフィッシュ
Outline of Annual Research Achievements

私たちは、WNT/βカテニンシグナルを可視化するゼブラフィッシュ系統を樹立し、心房と心室の間に存在する房室管領域にWNT/βカテニンシグナルを持続的に活性化する心筋細胞 (βcat ON心筋) があることを見出した。心臓に血液を供給する冠血管は、ゼブラフィッシュでは房室管の心内膜の内皮細胞から形成される。そこで私たちは、βcat ON心筋が冠血管形成を制御するのではないかと予想した。本研究では、βcat ON心筋による部位特異的な冠血管形成の制御を研究することで、「なぜ房室管から冠血管が形成されるのか」を明らかにすることを目的に研究を行った。
これまでの研究で、βcat ON心筋の細胞死は冠血管形成を抑制したため、βcat ON心筋が冠血管形成に必要であると明らかになっていた。そこで、βcat ON心筋の細胞死を誘導した際、血管を構成する血管内皮細胞にどのような影響があるかを明らかにするために、内皮細胞のシングルセル解析を行った。その結果βcat ON心筋の細胞死を誘導した群の内皮細胞では、細胞死を誘導しなかった群に比べて、動脈の遺伝子の発現が低下していた。動脈化に関連した遺伝子には、内皮細胞の移動を制御する遺伝子や、壁細胞を呼び込んで血管を安定化させる遺伝子が存在する。βcat ON心筋なしでは、冠血管内皮細胞の分化が未熟であるために、成熟した冠血管網を形成することができないのではないかと予想された。
次に、βcat ON心筋に発現する遺伝子をRNA-シーケンスで網羅的に解析したところ、βcat OFF心筋と比較して、WNTシグナルの下流遺伝子以外に、多くの分泌因子の発現が亢進することが明らかになった。
現在は、βcat ON心筋が分泌する因子の中に、冠血管内皮細胞の動脈化を抑制して冠血管形成を抑制する因子があるのではないかと考え、探索を行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

山形大学に異動したことにより、研究環境のセットアップに時間がかかった。また、異動によってトランスジェニックゼブラフィッシュを使用できる機会が減り、シングルセル解析、RNA-シーケンスのデータ解析や、リアルタイムPCRによる発現変動の確認実験が中心となった。そのため、βcat ON心筋が冠血管形成のどのような過程 (心内膜内皮細胞からの分化、内膜層からの出芽、遊走、増殖) に作用するのかをイメージングで明らかにする研究が完了していない。以上の理由により、当初の計画よりもやや遅れていると判断した。

Strategy for Future Research Activity

まず、βcat ON心筋の細胞死が、内皮細胞の出芽、遊走、増殖に影響を与えるかをイメージングで解析し、βcat ON心筋が寄与する冠血管の形成過程を明確にする。細胞死を誘導した群と誘導しなかった群について、出芽はアクチンのイメージングで、遊走は複数のタイムポイントでの冠血管の伸展具合を比較することで、増殖はEdUを取り込んだ冠血管内皮細胞の割合を比較することで検討する。
次に、βcat ON心筋が冠血管形成を制御する分子メカニズムを明らかにするために、βcat ON心筋のシングルセル解析を行う。すでにβcat ON心筋のRNA-シーケンスを行ったものの、ターゲットの絞り込みに難航しているため、シングルセル解析によって、周囲の細胞のコンタミネーションや、一部の細胞のみで発現亢進した遺伝子の影響を可能な限り排除して解析する。さらに、WNTシグナル阻害薬を処理することで、レポーターは発現するがWNTシグナルは活性化していない細胞を回収して、WNTシグナル依存性の因子を絞り込む。
上記の結果と、内皮細胞のシングルセル解析の結果を併せて、βcat ON心筋がどのようにして内皮細胞の動脈化を制御し、冠血管形成を制御するのかの分子メカニズムを推定する。
その仮説が正しいかを、シグナルの阻害剤や分子の阻害剤を処理して、冠血管形成が抑制されるか調べることで検証する。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由として、パソコンを使用したデータ解析が中心となっていたことや、必要な試薬が研究室の全員が使用するような共通の試薬であったため、新たに購入せずに実験できたことなどが挙げられる。また、異動による影響として、セットアップで実験ができなかった期間があることや、国際学会への参加を見送ったことなども挙げられる。
今後は、βcat ON心筋による冠血管制御メカニズムを明らかにするために、βcat ON心筋のシングルセル解析を予定しており、その試薬購入と解析費用として使用したい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Endoderm-derived islet1-expressing cells differentiate into endothelial cells to function as the vascular HSPC niche in zebrafish2023

    • Author(s)
      Nakajima Hiroyuki、Ishikawa Hiroyuki、Yamamoto Takuya、Chiba Ayano、Fukui Hajime、Sako Keisuke、Fukumoto Moe、Mattonet Kenny、Kwon Hyouk-Bum、Hui Subhra P.、Dobreva Gergana D.、Kikuchi Kazu、Helker Christian S.M.、Stainier Didier Y.R.、Mochizuki Naoki
    • Journal Title

      Developmental Cell

      Volume: 58 Pages: 224~238.e7

    • DOI

      10.1016/j.devcel.2022.12.013

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] Midnolinの作用機序解明を目指した、 結合タンパク質の探索と機能解析2022

    • Author(s)
      千葉 彩乃、加藤 千聖、野呂田 郁夫、石井 邦明、小原 祐太郎
    • Organizer
      第73回日本薬理学会北部会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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