2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of genome stability mechanisms involved in the establishment of allopolyploid species.
Project/Area Number |
22K15161
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
岡田 萌子 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特任助教 (20913289)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コムギ / 倍数性進化 / 染色体 / 種分化 / トランスクリプトーム / 野生種 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム分化と倍数性進化は、多くの動植物で一般的にみられる現象で、種分化と適応進化の原動力である。多くの倍数体植物では、倍数体化後に特定のゲノムにのみ変異が蓄積する。ムギ類のゲノムも、倍数体化後も安定な「軸ゲノム」と、変異しやすい「可変ゲノム」に分けられるが、ゲノム安定性を決める分子基盤は未解明である。さらに、軸ゲノム同士の組合せをもつ4倍体野生種は、自然界には存在しない。そこで本研究では、「ゲノム安定性の違いは異質倍数体種成立に影響するのか」という核心的「問い」を通じて、異質倍数性進化の分子基盤解明を目指す。上記の目的を達成するために、今年度はゲノム配列決定と栽培実験を行った。 ・ゲノム配列の変化を調査するためには参照ゲノム配列が必要であるが、ムギ類野生種の参照ゲノム配列は多くが未解読である。今年度はUゲノムについて、PacBioロングリードシーケンスとHi-C解析によるゲノム配列決定を進めた。 ・Uゲノム種とMゲノム種、Uゲノム種とDゲノム種の交配実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲノム解読のための解析環境構築や、Hi-Cデータ解析に予想よりも時間がかかっている。 また、交配実験の結果が芳しくなく、雑種を得られなかった組み合わせがある。 これらにより、本研究は「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度前半までに雑種系統の育成、ゲノム解読を完了させ、2023年度後半からは交雑後に起こる染色体変異の偏りについて具体的な実験・解析を進める。 ・Hi-Cデータ解析を行い、再度アセンブリすることで、染色体レベルのゲノム配列を取得する ・Uゲノム種とMゲノム種、Uゲノム種とDゲノム種の交配実験、F1雑種の育成を行い、F2世代の取得並びにDNA-seq, RNA-seq, メチル化解析のためのサンプルを取得する ・DNA-seqにより、ゲノム網羅的な多型を検出する。 ・RNA-seqデータから、遺伝子領域の多型検出並びに発現パターンの世代間の違いを明らかにする。 ・発現パターンの違いからメチル化解析のターゲット領域を決定する。
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Causes of Carryover |
交配実験による雑種を得られず、DNA-seqなど具体的な実験を行えなかったため。
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Research Products
(5 results)