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2022 Fiscal Year Research-status Report

補償的復帰置換を用いた分子進化における弱有益変異の頻度と影響の調査

Research Project

Project/Area Number 22K15162
Research InstitutionNagahama Institute of Bio-Science and Technology

Principal Investigator

里村 和浩  長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, プロジェクト特任講師 (90815804)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsほぼ中立説 / 自然選択 / 多重置換 / 遺伝的多様性 / 遺伝子の進化
Outline of Annual Research Achievements

現在、ゲノム解析は生物学の基本的な研究手法の一つとなっており、その結果の解釈には、分子進化のほぼ中立説の理解が重要である。ほぼ中立説は、これまで主に弱有害変異の効果によって説明されてきたが、対として存在するはずの弱有益変異は未だに実データを用いた検証が終えられていない。実データから網羅的に弱有益変異を検出するためには、適応度を調べずに弱有益であることを説明する必要がある。本研究計画では、弱有害変異が起きたサイトが元の状態に戻る補償的復帰置換を通して、弱有益変異の普遍性を調べることを目的とした。
まず、はじめにサル目77種のミトコンドリア遺伝子のアミノ酸置換に着目した。最尤法で描かれた分子系統樹を用いて全13遺伝子について祖先配列を推定し、多重置換の数を調べた。その結果、COIやCOII遺伝子の置換数が少ない(0.1%未満)一方で、ATPase8置換数の置換数は1%以上と、遺伝子間で置換率に10倍以上の差があった。COIやCOII遺伝子は復帰置換数とそれ以外の多重置換数がほぼ同じであったが、置換数が多い遺伝子ほど復帰置換以外の多重置換数が増加し、復帰置換数はあまり増えない。相対的に置換数が少ない遺伝子ほど復帰置換率が高いことが示された。
この結果は、変異率の低い遺伝子は浄化選択の効果によりアミノ酸の弱有害変異を除去したことを意味すると解釈できる一方、変異率の高い遺伝子はエピスタシスの効果により新たに有益なアミノ酸の組み合わせが生み出されることで正の選択の効果により新しい置換が積極的に受け入れられている状況とも解釈できる。いずれにせよ適応的な置換なのであれば有効集団サイズが大きい種において起こりやすいことが考えられる。そこで、種の遺伝的多様性を加味した結果、遺伝的多様性の大きい種の方が復帰置換が起こりやすいと考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

解析サーバーのトラブルがあったことと、ゲノム情報の量に差がある種の遺伝的多様性を平等に評価する方法が難しく、やや進捗は遅れている。しかし、今年、233種のサル目におけるゲノムレベルの遺伝的多様性を統一的に調べた研究が公表されることもあり、十分に遅れを取り戻せる状況にある。

Strategy for Future Research Activity

変異数が増えるほど復帰置換数は少なくなることから、使用する系統群を徒に増やさず、サル目とショウジョウバエに着目する。全ゲノム解析時はゲノム領域毎に遺伝的多様性が変わることから、それを加味した解析を進める。エピスタシスの効果と弱い自然選択の効果を明確に区別できるように留意する。

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Published: 2023-12-25  

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