2022 Fiscal Year Research-status Report
環形動物におけるカメラ眼の獲得とそれに伴う中枢神経系の構造進化
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22K15165
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
自見 直人 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (50866720)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 形態 / 眼 / 進化 / 中枢神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はボウセキウロコムシ科を用いて高機能な眼の進化過程と神経系の進化過程の関連を探ることが目的である。本科は現生8属おり、頭部に眼が2対ある。各属は眼を除き殆ど形態・生態の差は存在しない。8属の眼構造は3パターンある:1. 前対・後対共に他多毛類と同様の杯状眼 (2属), 2. 前対が未発達なカメラ眼で後対が杯状眼 (5属), 3. 前対が非常に発達したカメラ眼で、後対は前対に癒合し消失 (1属)。3パターンの眼の保持段階(杯状眼型・中間段階型・カメラ眼型)を比べることで、カメラ眼獲得時に中枢神経系にどのような変化が起きるかを追うことができる。これらの比較のため本年度は3グループの標本を取得することを目的としサンプリングを実行した。結果、各グループにおいてサンプルを得ることができ、特に研究において重要なカメラ眼型の標本を定期的に得ることができる場所を見つけたことは大きな進展であった。このことにより形態および遺伝子両面から眼と神経系の進化に迫れる可能性が高くなった。これらの標本は系統解析用および形態解析用に適切に固定することができており、これは現場でしかできないため実際にサンプリングを実行した成果となる。 現在はこれらの種同定と系統解析を行い、どのような進化過程であるかを明らかにすることを第一としている。種同定の過程で未記載種と見られるものも複数出ており、本研究に用いるためにも命名する必要があることから記載を並行して進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初想定していたよりも多くのサンプルが集まり、詳細な形態解析に用いることができる。そのため研究において重要なデータを取る下地ができており、今後発展的な解析を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたサンプルを基に、内部形態観察を進めていくと同時に系統解析を行うことで進化の過程を把握する。それらのデータを統合し、眼および中枢神経系の進化過程を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
想定していた遺伝子解析がある程度ランダムにならざるを得ないサンプル取得の状況により、年度末に多くなってしまいを次年度に回したほうがいいと判断したため。次年度合算して使用する。
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Research Products
(2 results)