2023 Fiscal Year Research-status Report
トランスジェニックから探るアブラムシ細胞内共生系の分子基盤
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22K15169
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
依田 真一 基礎生物学研究所, 進化ゲノミクス研究室, 特任助教 (70897751)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アブラムシ / 遺伝子導入 / トランスポゾン / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に続き、エンドウヒゲナガアブラムシを対象にトランスジェニックシステムの構築に取り組んだ。特に、non-site specificなトランスポゾンシステムであるpiggyBacとトランスポゾンXに焦点を当て、これらのトランスポゾンのORF(トランスポゼース)をコードするhelperプラスミドやmRNA、タンパク質と、トランスポゾンの認識配列を含むdonor plasmidをアブラムシの卵に共注入し、donor plasmid上の認識配列が正確に切り出されるかをシーケンシングにより検証した。その結果、piggyBacでは認識配列の正確な切り出しは確認できなかったが、トランスポゾンXではトランスポゼースタンパク質とdonor plasmidを共注入した場合に、donor上の認識配列が正確に切り出されることが明らかとなった。加えて、今年度はdonor plasmidに挿入する蛍光タンパク質のコドン最適化を行った。
上記のトランスジェニックシステムの開発と並行して、エンドウヒゲナガアブラムシの卵生メスを用いて、簡便な遺伝子導入ツールとしてのDIPA-CRISPRの有効性を評価した。体色変化をマーカーとして使用するため、メラニン色素合成に関与する遺伝子laccase2を対象にDIPA-CRISPRの最適化を進めた。具体的には、メス成虫の交配タイミング、実験に使用するメス成虫の年齢(令)、およびCas9-RNPを注入する体節の位置について検討し、G0世代でのモザイクノックアウト個体の生成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アブラムシのトランスジェニックシステム構築に向けて、最適なトランスポゾンを特定した。また、プロジェクト初期の計画には含まれていなかったものの、アブラムシに適用可能な簡便なゲノム編集ツールの開発にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
アブラムシのトランスジェニックシステムの開発を進めるため、トランスポゾンXを用いた卵への顕微注入技術に焦点を当てる。これと並行して、site-specificなトランスポゾンであるphic31の活用を検討し、attP-attBを介した組換えメカニズムを利用してゲノムに長鎖DNA配列を挿入する方法についても検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)原著論文の投稿を予定していたが、次年度に先送りとなってしまったため(校正費、論文掲載料の先送り)。 (使用計画)次年度内に原著論文を投稿する。
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