2022 Fiscal Year Research-status Report
Evolution of male genital morphology in insects in response to predation-mediated selection
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22K15177
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
篠原 忠 静岡大学, 理学部, 学術研究員 (00899734)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 交尾行動 / 交尾器形態 / 翅形態 / 捕食-被食関係 / カメノコハムシ亜科 |
Outline of Annual Research Achievements |
カメノコハムシ亜科の翅末端に見られる扁平縁や棘といった突出構造の発達は,捕食者による捕食を防ぐ一方で,交尾時にオス交尾器がメス腹部へ接触するのを妨げる可能性がある.これを検証するため,翅末端に扁平縁を持つイチモンジカメノコハムシを対象とし,扁平縁幅を操作して行動実験を実施した.メス個体については,扁平縁とほぼ同じ幅に切った厚紙を翅末端に貼り付けた「非伸長メス」と,扁平縁の約2倍の幅の厚紙を貼り付けて扁平縁を伸長させた「伸長メス」を用意した.いずれかのメス1個体をオス1個体とともにシャーレに入れて配偶行動を観察し,交尾の成功/失敗について記録した.その結果,非伸長メスを用いた実験では,51トライアルのうち6トライアルでオスがメスにマウントする行動が観察され,そのすべてのオスが交尾に成功した.一方,伸長メスを用いた実験では,42トライアルのうち5トライアルでオスがメスにマウントする行動が観察され,そのすべてのオスが交尾に失敗した.以上のように,発達した突出構造は交配相手の接近を物理的に妨げ,交尾成功率の低下をもたらす可能性が示された. 翅末端の突出構造が交尾を妨げるならば,突出構造が発達した種では交尾の妨げを克服するようなオス交尾器形態が進化する可能性がある.メス翅末端の突出構造の幅とオス交尾器のサイズ・形状の相関進化を検証するために,日本産カメノコハムシ亜科15種のサンプリングを行った.一部の種ではオス交尾器の解剖が完了しており,種間比較のためにサイズや形状を定量化する準備が整いつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は昨年5月に所属機関の変更があり,その時期に実施予定であった行動実験の開始が遅れたため.また,当初予定していなかった研究にエフォートを割く必要があったため.
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Strategy for Future Research Activity |
イチモンジカメノコハムシを用いた行動実験については,現時点では十分なデータが得られていない.そのため,来年度も引き続き行動実験を行いサンプルサイズを増やす.その後,今年度のデータと合わせて解析を行い,論文をとりまとめる.また,系統種間比較により翅末端の突出構造と交尾器形態の相関進化を検証する.新たに複数の種をサンプリングし,種間比較を行うためにメス翅末端の突出構造の幅およびオス交尾器のサイズ・形状を定量化する.
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Causes of Carryover |
ハムシの解剖や行動実験に必要となる機器の購入費用が当初想定していたよりも抑えられたため.本研究の成果を国内学会で発表するための旅費として使用する予定である.
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