2023 Fiscal Year Research-status Report
頭蓋3次元計測で解明する日本人の顔立ちの地理的多様性とその背景にある集団成立史
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22K15193
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大野 憲五 佐賀大学, 医学部, 助教 (00635568)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 頭蓋3次元計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、頭蓋の3Dスキャンを行う際のワークフローにおける問題点を洗い出し、データ取得のための出張先でスムーズな計測ができるよう検討した。特にTranscan C (SHINING 3D)を用いた計測では、スキャン時のターンテーブルの回転による微振動で頭蓋が微妙に動き、計測誤差が生じることがあることが明らかになり、ターンテーブルへの固定方法や回転スピードを工夫して、計測時の誤差を最小化することが可能となった。繰り返しトレーニングを行うことで計測前に必要なキャリブレーションの時間も短縮することができた。その後、東北大学へ1週間の出張に行き、器官解剖学分野が管理する東北地方出身者の近代人骨のデータ収集を約100体(男女計)行った。また取得したサンプルに基づいてEVAN toolboxを用いてSTLデータから複雑な顔面部形状の解析を行うための手法の検討を行った。本研究の重要なポイントのひとつは伝統的な手法である滑動計や触角計を用いた距離変数の集合ではわからなかった顔面形態の集団間の違いや個体差を3次元計測から明らかにすることである。そのため、形態を評価する顔面骨格のなかでより集団間の違いが現れやすい眼窩部や鼻根部(目鼻立ち)に解析部位を絞る中で、形状情報を可能なかぎり省略しない手法を検討することが重要になる。本課題では解剖学的ランドマークに加え、セミランドマークも採用することで、解剖学的相同性の保たれない部位にも数学的に標識点をとり、表面形状を単純化しすぎない解析を行うこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
頭蓋の3Dデータ取得のための出張の日程の捻出にやや誤算が生じ、予定よりも遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
出張の日程を捻出し、サンプルサイズを増やす。既存のデータの形態解析を進める。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりデータ計測のための出張が遅れているため、次年度の旅費として使用予定である。
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