2023 Fiscal Year Research-status Report
視覚野における領野間相互作用の可視化解析による睡眠時神経活動の発生機序の解明
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22K15197
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北島 奈美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (20908818)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 睡眠 / 大脳皮質 / 視覚野 / 神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質の神経活動は、覚醒時だけでなく、外界からの入力のない睡眠時も観察される。この睡眠時の神経活動は記憶や学習などの情報処理に関与することが示唆されており、脳の機能に重要な役割をもつと考えられるが、外界からの入力が遮断された睡眠時にどのようなメカニズムで発生するのかは十分には解明されていない。そこで、本研究では、睡眠時神経活動を一次視覚野および高次視覚野において同時に可視化し、領野横断的な情報連関を明らかにすることにより、睡眠時神経活動の発生メカニズムを明らかにする。これまでに、大脳皮質神経細胞に蛍光カルシウムインジケータを発現したトランスジェニックマウスを用いて、超広視野二光子励起顕微鏡下にて、生理的な睡眠覚醒時における視覚野神経活動の測定を行った。その結果、各領野の神経活動は、レム睡眠・ノンレム睡眠・覚醒時の三つの状態で異なる活動パターンを示すことが示唆された。当該年度では、より詳細な解析のため、二光子励起顕微鏡を用いて、一次視覚野と高次視覚野を含む複数領野における睡眠時神経活動を測定した。その結果、超広視野二光子励起顕微鏡での実験と同様に、睡眠覚醒の各状態で異なる神経活動パターンをとることを示唆する結果が得られた。今後は、睡眠覚醒状態の変化により、一次視覚野および高次視覚野において神経細胞間での相互作用がどのように変化するか調べ、睡眠時における領野間の情報伝達の仕組みを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二光子励起顕微鏡を用いて、レム睡眠・ノンレム睡眠・覚醒時における一次視覚野および高次視覚野の神経活動を測定することで、超広視野顕微鏡での実験と併せて、より詳細に活動パターンの解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の申請計画に基づき、レム睡眠・ノンレム睡眠・覚醒時において領野を跨いだ神経細胞間の活動の時間相関を算出し、神経細胞間の機能的結合度を比較解析する。これにより、睡眠覚醒状態に応じて領野間の情報伝達が変化するか調査する。
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Causes of Carryover |
超広視野顕微鏡での実験に加えて、二光子励起顕微鏡を用いてレム睡眠・ノンレム睡眠・覚醒時における神経活動パターンの詳細な解析を行ったため、実験の一部を次年度に先送りし、そのための費用も次年度に先送りとした。
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