2023 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラ間接触部位における糖脂質分解経路依存的な軸索発達メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K15198
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
壷井 將史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20847123)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小胞体-リソソーム接触 / ニューロン / 糖脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
正確なニューロンの軸索の発達には、脂質の一つであるセラミドとその代謝物である糖脂質の組成が厳密に制御されている必要がある。リソソームにおいて糖脂質を分解し、生成されたセラミドを小胞体へと還元するサルベージ経路は糖脂質組成を規定する重要な経路であるが、その軸索発達における重要性は全く未知である。本研究では、小胞体-リソソーム接触場が糖脂質サルベージ経路を介して軸索分岐形成を制御する可能性について検討した。本年度は、小胞体-リソソーム接触形成を担うPDZD8を軸索区画特異的に分解した時の脂質代謝に与える影響を調べた。そのために、Microfluid chamberにて局性培養した大脳皮質由来ニューロンでAID法によるPDZD8タンパク質の軸索特異的な局所分解を試みた。その結果、期待通り、軸索区画において顕著なPDZD8タンパク質の低下が見られたが、同じ細胞において細胞体、樹状突起区画においてもPDZD8の分解が観察された。Hela細胞を用いた検討から、ニューロンにおける細胞体区画でのPDZD8タンパク質の低下はリガンドであるオーキシンがリークしたためではなくオーキシンが細胞内を逆行的に拡散した可能性が示唆された。そのため、LC/MSによる脂質代謝解析には至らなかった。さらに、これまでPDZD8のノックダウンにより糖脂質の一つであるラクトシルセラミドの量が顕著に低下することを見出していた。そこで、この結果をPDZD8のノックアウトにおいても確認したところ、予想に反して糖脂質量 (グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド) に顕著な差は見られなかった。本研究全体を通じて、大脳皮質交連ニューロンにおいてPDZD8が軸索分岐形成に必要であることを見出し、これは糖脂質代謝経路を介さない可能性が示唆された。
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