2022 Fiscal Year Research-status Report
脳内活動の可視化による腫瘍ー正常細胞間ネットワーク形成の脳腫瘍進展への影響の解明
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22K15221
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
竹内 敦也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (70909580)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | グリオーマ / カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
正常脳の微小環境内において、神経細胞やグリア細胞はネットワークを形成するが、近年、神経膠 腫(グリオーマ)などの脳腫瘍細胞も正常の神経細胞やグリア細胞との間にシナプスを形成し、情報伝 達ネットワークを形成することが明らかになってきた。しかし、このネットワーク内において、どのような各 種細胞の活動があり、腫瘍細胞と正常細胞間の相互のコミュニケーションがなされているのか(以下、 活動動態と呼ぶ)という点や、この活動動態が脳腫瘍の進展にどのような影響を及ぼすのかという極め て重要な疑問点については未だ不明である。 本研究では、生きた脳内における腫瘍細胞―神経細胞―グリア細胞間のネットワークの活動動態と 脳腫瘍進展との関係を、多色カルシウムイメージングによる細胞活動の可視化や、光遺伝学等による 細胞活動の操作により明らかにする。さらに、この細胞間ネットワークの情報伝達が、どのような神経伝 達物質に依存しているのかということを明らかにするため、各種センサーによる可視化を行う。腫瘍細胞と正常細胞間のネットワークは、腫瘍の進展に極めて重要な役割を果たしている可能性が あり、このネットワークの機能の解明は、難治性脳腫瘍の新しい治療法につながる可能性が期待できる。 本年度は、腫瘍を誘発する手法として、in utero electroporation法を用いてPtch1またはTrp54&Pten&Nf1のCRISPR/Cas9ノック アウト誘導配列を用いたところ、再現性良くグリオーマを誘発することに成功し、これをin vivoにて長期間のカルシウムイメージングでの観察をすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CRISPR/Cas9ノック アウト誘導配列を用いたところ、再現性良くグリオーマを誘発することに成功した。さらに、これをin vivoにて長期間のカルシウムイメージングでの観察をすることに成功したものの、グリオーマの腫瘍塊中の腫瘍細胞、神経細胞、グリア細胞の区別が明瞭に行えていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
グリオーマの腫瘍塊中の腫瘍細胞、神経細胞、グリア細胞の区別が明瞭に行えていない状況であるため、この課題を解決し、相互のネットワーク形成が腫瘍進展にどのように影響しているのかを解析する。
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Causes of Carryover |
昨年度については、交付後からの執行期間が通常より短かったため次年度使用額が生じた。 今年度については過不足ないように必要物品の購入を目的として執行予定である。
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