2023 Fiscal Year Annual Research Report
脳内活動の可視化による腫瘍ー正常細胞間ネットワーク形成の脳腫瘍進展への影響の解明
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22K15221
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
竹内 敦也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (70909580)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カルシウムイメージング / 腫瘍細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞やグリア細胞などの脳内正常細胞と腫瘍細胞との間の相互の活動動態のダイナミクスを時空間的に解析することにより、腫瘍細胞だけに着目した研究では解き明かすことのできなかった腫瘍細胞進展の病態生理の解明を試みた。 腫瘍を誘発する手法としては、Ptch1またはTrp54&Pten&Nf1のCRISPR/Cas9ノックアウト誘導配列を用いたin utero electroporation法により、大脳皮質のglioblastomaを再現性高く誘導可能であることが発表されており、本研究においてもこの手法により効率良くマウスの大脳皮質glioblastomaモデルを作成することに成功した。 次にこの腫瘍モデルマウスを用いた脳内正常細胞と腫瘍細胞との間の相互の活動動態のダイナミクスをカルシウムイメージングによって明らかにすることを試みた。当初の予想では、モデルマウスの腫瘍中には腫瘍細胞および神経細胞・グリア細胞が混在した状況を想定していた。しかし、実際のイメージングおよび組織観察を行うと、幼若期(概ね生後3週程度)を過ぎた場合には、腫瘍組織内においてはほぼ全ての細胞が腫瘍細胞と思われる異形細胞が占めていたため、神経細胞・グリア細胞と腫瘍細胞との相互関係を可視化することは極めて困難であるものと考えられた。 腫瘍細胞が自律神経系の入力を受けており、この入力が腫瘍進展に重要な役割を果たしていることが示す論文が多数報告されている。このため、当初の方針を変更し自律神経系の影響についてのカルシウムイメージングによる実験を試みた。その結果、急性脳スライス実験により、アドレナリン等の自律神経系の神経伝達物質に腫瘍細胞が反応を示すこと、また、in vivoイメージングでは驚愕反応により腫瘍細胞が反応を示す事が判明し、交感神経系の入力が腫瘍細胞の進展に関与する可能性が示唆された。
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