2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of chemical toolbox for RyR regulator and analysis of the dynamism of RyR open/close mechanism
Project/Area Number |
22K15244
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石田 良典 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (10937684)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | リアノジン受容体 / 筋疾患 / 構造活性相関 / チャネル開閉ダイナミズム |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋細胞の筋小胞体膜上に発現しているカルシウムイオン遊離チャネルリアノジン受容体(RyR)は、その機能の重要さゆえに異常活性化や不活化によって多くの致死性筋疾患を誘発する。RyRの機能を自在に制御する新たな治療候補化合物の開発およびRyRのチャネル開閉ダイナミズム理解を研究目的として、2022年度は有機合成化学を中心としたRyR制御剤の開発研究を行った。すなわち、スクリーニングに基づくヒット化合物の選定と一部阻害剤・活性化剤に対して構造展開によって活性の向上を図った。1~3の3つのRyRのうち、主に骨格筋に発現し、痙攣を伴う筋疾患に関与しているRyR1では、既存薬の問題点である難水溶性を解決した阻害剤の創出に成功し、論文として発表した。主に心筋に発現し、心疾患の原因となることが知られているRyR2を標的とした研究では、2種類の阻害剤スクリーニングヒット化合物に対して構造展開を行い、約30種類の新規誘導体を合成することで、活性の向上や活性における化合物の構造特異性の特定を行い、その成果を日本薬学会などで発表した。RyR2異常活性化では、これまでにRyR2を直接的な標的とした治療薬の開発が行われていないことから、創出した化合物がRyR2関連心疾患に対する薬剤開発の礎となることが期待できる。これまで全く報告されていない活性化剤に関しても、RyR1/2非選択的ではあるが、既知の活性化剤caffeineと比べ100倍近く活性の向上した化合物を見出しており、合成展開によりさらなる活性の向上に取り組んでいる。このように、これまでの問題点や今まで報告のないRyR制御剤を複数開発することに成功しており、今後のRyR開閉メカニズム解析へと展開していくことが期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、有機化学による新たなRyR制御化合物群の創出と、それらを利用したRyRのチャネル開閉ダイナミズム理解が目的である。2022年度は、1段階目として、各種RyRの阻害剤および活性化剤の開発を行った。RyR1/2に対して、それぞれを阻害する化合物、活性化する化合物をスクリーニングの結果から選定した。さらに各種ヒット化合物について各部分構造の詳細な合成展開を行うことにより、RyR1を特異的に阻害する高活性化合物の創出、RyR2特異的に阻害する高活性化合物の創出に成功している。RyR活性化剤に関しては、非選択的なRyR網羅的活性化剤の開発に成功しており、現在同時進行にてRyR1、RyR2それぞれを選択的に活性化する化合物のヒット化合物の合成展開を行っている。これら合成化合物の活性評価は、協力研究者らとともに開発したRyR発現細胞にて行っており、バイオロジー分野の研究体制も順調に運用できており、今後の生化学実験に問題なく進行できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
見出したRyR1阻害剤については、フォトアフィニティープローブの開発を行い、ケミカルバイオロジー的手法でRyRに対する結合位置の特定を進める。活性化剤は現在非選択的なものが中心なので、早急にRyR1またはRyR2の選択的活性化を惹起する化合物を創出する。また、協力研究者の有する実験設備を用い、cryo-EMを用いた化合物-RyRの共構造の測定に基づくRyR開閉システムの解明へと展開する予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度計画していた化合物合成のための共通溶媒などの大量購入において、所属研究室で保有していたものなどを使用できたため若干予定より少ない運用となった。当初の計画では1年目に購入したものを2年目も使用する予定だったが、次年度はこれらを自身で購入し使用するため、残額は次年度にて使い切る予定である。
|
Research Products
(6 results)