2023 Fiscal Year Annual Research Report
がん遺伝子産物RASを阻害する細胞膜透過性タンパク質の開発
Project/Area Number |
22K15246
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
本田 諒 岐阜大学, 大学院連合創薬医療情報研究科, 准教授 (00820143)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | KRAS / 分子標的薬 / 抗がん剤 / 細胞膜透過性ペプチド / 人工タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
RAS (H-Ras, K-Ras, N-Ras) はがんの約30%で活性型に変異している最もポピュラーながん遺伝子であり、約40年間にわたってRas阻害剤の開発が世界中で進められている。2021年にG12C変異型阻害剤ソトラシブが認可されたが、G12C以外の変異型Rasに対する治療法は未だ認可されていない。研究代表者は2018年から人工タンパク質を使用した新しいRas阻害剤の開発に取り組み、2020年にはNon-G12C変異型Rasを阻害可能な新規Ras阻害剤Pen-cRaf-v1を開発した(Cell Chem. Biol. 2021)。この成果をさらに発展させるため、本研究ではPen-cRaf-v1を基礎とする誘導体の合成と活性の評価を行った。特に、Pen-cRaf-v1はRAS結合部位(Ras-binding domain)と細胞膜透過性ペプチド(Cell-permeable peptides)の2ドメインから成る比較的単純な構造の阻害剤であったため、第3の機能的ドメインの追加を中心とした検討を行った。その結果、培養細胞モデルで数十nMの活性を示し、担がんマウスモデルで80%を超える腫瘍退縮効果を示す新規Ras阻害剤Xの開発に至った。Xは血中安定性が高く、毒性も低いため、創薬展開が可能なシーズである。よってXはG12C以外のRas変異を標的とする新しい治療法へと発展する可能性がある。
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