2022 Fiscal Year Research-status Report
Novel innovations in cytoplasmic delivery peptides directed at intracellular delivery of antibodies
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22K15250
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川口 祥正 京都大学, 化学研究所, 助教 (90936808)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞質送達ペプチド / タンパク質 / 細胞内送達 / コンジュゲート / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体は、高難度標的を制御可能な分子として着目されているが、細胞膜透過性に乏しく、 細胞内分子を標的にできないことから、in vivoにも応用可能な細胞質送達技術の確立が望まれている。 これまで申請者は、抗体と混ぜるだけで、抗体の効率的な細胞質送達を可能にする細胞質送達ペプチドL17Eを開発した。一方で、これらのペプチドをin vivoで応用するには、細胞質送達ペプチドと抗体のコンジュゲートが必要であるが、本ペプチドの効果が十分発揮されるコンジュゲートの分子設計は達成されていない。そこで、本研究では、これら細胞質送達ペプチドのin vivoへの展開を目指し、細胞質送達ペプチド-抗体コンジュゲートを開発することを目的とした。 本年度は、核移行シグナルを融合した緑色蛍光タンパク質(NLS-GFP)をモデルタンパク質として、L17Eとのコンジュゲートについて検討を行った。具体的には、タンパク質とペプチドの間にエンドソーム内で切断されるリンカーおよびジスルフィド結合を導入したコンジュゲート体の設計および調製を行った。本手法によって、L17EとNLS-GFPとのコンジュゲートを調製し、細胞に添加して、細胞内局在を共焦点顕微鏡によって観察した。L17EとNLS-GFPの間にジスルフィド結合を持たない場合は、GFPの蛍光シグナルが核の外に拡散する様子が観察され、L17Eは導入タンパク質の細胞内局在に影響を与える可能性があることがわかった。また、ジスルフィド結合を導入した場合は、GFPのシグナルが核内に観察されたことから、ジスルフィド結合が送達タンパク質の機能を発揮させる上で有用であることが示唆された。以上から、L17Eとタンパク質とのコンジュゲートにおける設計指針を立てる上で重要な知見を得ることに成功した。さらに、膜傷害性ペプチドを鋳型にして新規の細胞質送達ペプチドの開発にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞質送達ペプチドとタンパク質のコンジュゲートにおける基本となる設計指針を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本設計方針を抗体とのコンジュゲートに適用することで、抗体の細胞質送達が可能であるか評価する予定である。さらに、本コンジュゲートにおいて、in vivoにおける抗体やタンパク質の細胞質送達を目指す。
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