2023 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量と熱力学的安定性を両立したNIR-II色素の創製と蛍光プローブへの応用
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22K15259
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
谷岡 卓 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (40846359)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光レドックス触媒反応 / 近赤外 / 架橋キサンテン色素 / 光治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、架橋キサンテン色素を分子プラットフォームとし、小さな分子サイズと熱力学的安定を両立した NIR-II 色素をデザイン・創製し、創出した色素の蛍光プローブとしての有用性を明らかにすることを目的とした研究である。本年度は、以下に示す3つの成果が得ることができた。 ① まず、NIR-II 色素の創出について、フルオレセイン型架橋キサンテン色素(Bridged fluorescein:BFL)を用いることで達成した。これまで、BFL のπ平面を拡張することで NIR-II 光物性を達成できることがわかっていた。今回新たに、BFL の適切な位置に水酸基を導入することによっても、350g/mol 以下の小さな分子サイズを維持したまま NIR-II 光物性を達成できることがわかった。 ② 次に、プローブ化に関して、BFL は水中ではアニオン型分子種を形成し近赤外光物性を示す。そこで、BFL に刺激応答性基であるペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリドやジフェニルホスフィン酸クロリドを付加させることで、誘導体を合成し、機能評価を行った。その結果、過酸化水素やスーパーオキシドアニオンと水中で反応させることで、近赤外光物性を有するアニオン種を生成させることに成功した。 ③ プローブ化に関するもう一つの発見として、ロドール型架橋キサンテン系色素(BRO)が、無極性溶媒中(高分子中)でのみ発光する『無極性選択発光』という新現象を示すことを見出した。この BRO の無極性選択発光の大きな特性として、色素周囲の媒体の剛直性の影響を受けない。この性質を利用し、BRO を高分子フィルムにドープすることで、各種溶媒ガスを発光で検出可能なセンサーを開発した。さらに、BRO をドープした高分子から抜ける極性ガスの速度を調節することで、時間情報有するセキュリティインクとしても応用できることを実証した。
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