2022 Fiscal Year Research-status Report
On-tissue Diastereomeric Derivatization for Selective Imaging of Chiral Molecules
Project/Area Number |
22K15264
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
杉山 栄二 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90806332)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 質量分析 / イメージング / キラル / 誘導体化 / イオンモビリティースペクトロメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新たな誘導体化法の開発により生体組織切片に含まれるキラル分子とその光学異性体の分布をそれぞれ可視化することを目的としている。研究代表者は昨年度までに、種々のキラル誘導体化試薬を用いて得たキラルアミノ酸のジアステレオマー誘導体を対象として、イオンモビリティースペクトロメトリー(IMS)において比較的高い分離度を示すキラル誘導体化試薬2種を見出した。本年度はまず、それらキラル誘導体化試薬をアスパラギン酸とアスパラギン酸のγ位カルボン酸がエステル化された化合物2種(メチルエステル、tert-ブチルエステル)と反応させ、生じる誘導体の部分構造の差がもたらす分離度の変化を調べた。エステル化された2種化合物のD体とL体に由来する誘導体はいずれもアスパラギン酸を用いた場合と比べて低い分離度を示し、アスパラギン酸のγ位カルボン酸が各誘導体イオンの立体構造(衝突断面積)に大きく寄与していることが示唆された。次に、on-tissue誘導体化により生成するアスパラギン酸誘導体のMALDI/MSによる検出を試みた。マウス組織に準備したD-, L-アスパラギン酸の乾燥液滴に反応溶液を滴下し、MALDI/MSで測定したところ、誘導体由来のピークは検出されなかった。この原因として、IMSで分離可能なイオン種の生成効率が不十分であることが挙げられる。そこで、これまでに得た自らの知見と文献情報を基に、2種の新しいカチオン型キラル誘導体化試薬を合成した。合成した試薬をタンパク質構成キラルアミノ酸と反応させ、各誘導体が質量分析イメージングにおける高感度検出に適した[M]+として検出されることを確認した。現在、各誘導体のIMS/質量分析による解析を進めると共に、新規誘導体試薬の収率を向上すべく反応条件の検討を行っている。以上の成果の一部は関連学会にて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補としていたキラル誘導体化試薬がon tissue誘導体化に適さず組織中分子のイメージングに利用できないことが明らかとなった一方、これまでの知見を基にデザインした新しいカチオン型キラル誘導体化試薬の合成が達成され、次年度早々に分離度の評価やon tissue誘導体化の条件検討が進められる状況であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した新規カチオン型キラル誘導体化試薬を種々のキラルアミンと反応させ、IMSで得られる分離度の評価とon tissue誘導体化条件の検討を行う。必要に応じて試薬構造の改変を行い、マウス組織内キラル分子のエナンチオ選択的イメージング法を構築する。
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Research Products
(16 results)