2022 Fiscal Year Research-status Report
エキシマー蛍光による高選択的キラルアミノ酸分析法構築と統合失調症の早期診断法開発
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22K15269
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
古賀 鈴依子 福岡大学, 薬学部, 助教 (20804545)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | キラルアミノ酸 / 光学分割 / エキシマー蛍光 / 蛍光誘導体化 / 多次元HPLC分析 / 分析化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内のD-アミノ酸酸化酵素(DAO)およびD-アスパラギン酸酸化酵素(DDO)の活性評価指標による統合失調症の早期かつ客観的診断を可能とするため、2022年度は予備試験でDAO活性変化に伴う尿中含量変化を示した非タンパク質構成アミノであるオルニチンを対象としてエキシマー蛍光誘導体化条件の検討および分離条件検討を行った。 エキシマー蛍光誘導体化に用いるピレン試薬としてアミノ基を対象とした蛍光誘導体化試薬である4-(1-Pyrene)butyric acid N-hydroxysuccinimide(PSE) を選定し、反応温度、反応時間および溶媒について検討して最適条件を得た。 非タンパク質構成アミノ酸であるオルニチンの生体内含量は極めて低いため、微量成分の高選択的分析を可能とする二次元HPLCシステムを利用して分析法を構築した。一次元目の逆相分離に微粒子充填型カラムを用い、二次元目の光学分割についてはパークル型キラル固定相5種を用いてPSE誘導体化オルニチンの分離検討を行った結果、二次元目において分離度1.7以上の良好な光学分割を達成した。これらの条件を用いて二次元HPLC分析システムを構築し、ヒト尿試料分析に適用した。ピレン誘導体化オルニチンをエキシマー蛍光波長(励起波長345 nmにおける475 nmの蛍光発光)で検出することにより、他の内在性化合物の影響を受けることなくオルニチン鏡像異性体のピーク検出が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は予備試験でDAO活性変化に伴う尿中含量変化を示したオルニチンを対象としてエキシマー蛍光誘導体化条件の検討および二次元キラルHPLC分析システムの構築に向けた逆相分配・光学分割の条件検討を行う計画であった。 これまでにオルニチンを用いて蛍光誘導体化試薬の選定、誘導体化条件の最適化および二次元キラルHPLC分析システムの構築を達成しており、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降は分析対象を他のアミノ酸・ペプチドへと拡充し、生体試料分析に向けて分析法の最適化を行う。また、開発した分析法を用いて、様々なDAO、DDO活性を有するマウス試料を分析する。尿中・血中キラルアミノ酸含量解析により鋭敏なDAO・DDO活性評価指標を探索し、DAO・DDO活性評価による統合失調症の客観的診断指標の開発へ繋げる。
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Causes of Carryover |
2022年度に実施した蛍光誘導体化試薬の選定が滞りなく進み、当初の計画と比較して誘導体化試薬購入費用が低く抑えられたため、次年度使用額が生じた。今後、マウス検体の収集および研究成果発表に充てることを計画している。
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Research Products
(1 results)