2023 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎を標的とする環状RNA医薬の基盤構築と最適化
Project/Area Number |
22K15271
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
信田 理沙 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (30930292)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環状RNA / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初環状RNAはmiRNAと相補的な配列を持ち、miRNAの標的への結合を競合的に阻害することで間接的に遺伝子発現を制御する分子として報告された。近年、環状RNAの機能は多岐にわたって報告されており、miRNAだけではなく、RNA結合タンパク質との相互作用や、機能性タンパク質をコードする環状RNA等、生体にとって重要な機能を担っていることが分かってきた。本研究は遺伝性疾患のうちアトピー性皮膚炎の原因として報告されているFLG遺伝子のナンセンス変異症例におけるフィラグリンタンパク質の不足を解消することを目的とし、環状RNAからのタンパク質産生をより効率的に行う手法を探索した。研究期間を通して、表皮において効率的に翻訳される環状RNAを濃縮する手法の検討を行った。初年度の検討から、当初予定していた方法での精製ではバックグラウンドの問題が除外できず、手法の変更を行い改善することに成功した。また、他の細胞とは異なり、皮膚は層状構造をとること、表皮基底層から上層へ向かって遺伝子発現が変動することを考慮し、カルシウム濃度を変化させ、各段階におけるサンプルの回収を行った。回収した細胞からのRNA抽出、そして環状RNAだけを濃縮する酵素処理を行った上で、RNA-seqによる解析を行った。これらの解析から得られたいくつかの配列を効率的な環状化配列、翻訳開始配列の候補として同定した。今後、これら配列を改変し、アトピー性皮膚炎患者から樹立した不死化細胞に導入することで症状改善の効果を確認する。
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