2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Novel Anti-Allergic Drug Using Strategic IgG Antibody Processing Technology
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22K15280
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 瑠理子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (20908785)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マスト細胞 / 単価ハプテン / Fc受容体 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
単価ハプテンによるマスト細胞活性化抑制機構解明のため、以下の実験を行った。 ・細胞内Caイオン濃度上昇抑制機構の解明 単価ハプテンによる多価抗原刺激後の細胞内Caイオン濃度上昇の抑制が、小胞体からのCaイオンの遊離に影響を及ぼすかどうかを調べるために、mag-fluo4 AMを用いて測定を行った。その結果、単価ハプテンを添加した時点で、小胞体から細胞質へのCaイオンの遊離が停止することが明らかとなった。さらに、Caイオン排出ポンプにも影響を及ぼすかについて調べるために、PMCAの阻害剤のcarboxyeosin、NCK・NCKX阻害剤のKB-R7943を用いて細胞内Caイオン濃度測定を行うための実験系を確立した。
・細胞骨格系タンパク質へ及ぼす影響の解明 アクチン脱重合に関与するcofilinの活性(リン酸化レベル)を制御することが知られているLIMKinaseとslingshot (ホスファターゼ)に着目して実験を行った。cofilinは多価抗原刺激後1分前後で一時的に脱リン酸化(活性化)することはマスト細胞においても知られているが、多価抗原刺激後のslingshotとLIMKinaseの活性については不明であったため、まず、多価抗原後の各時点におけるリン酸化レベルの変化についてウエスタンブロット法にて検討を行った。その結果刺激1分前後でslingshotは脱リン酸化(活性化)することが確認された。一方で、LIMKは脱リン酸化(不活性化)することが確認され、この不活性化は少なくとも5分後まで持続した。そこで、多価抗原刺激後に単価ハプテンを添加した場合におけるこれらのタンパクへの影響を確認したところ、slingshot、LIMKは迅速にリン酸化されることが明らかとなり、単価ハプテンによりこれらのタンパク質の活性が迅速に変化することでcofilinの活性を制御することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
単価ハプテンによる小胞体から細胞質へのCaイオンの遊離への影響を明らかにすることができ、さらに、不明な点の多い細胞骨格系タンパク質を制御するシグナルメカニズムについても解明されつつある。 一方で、PMCAやNCK・NCKXの阻害剤を用いた細胞内Caイオン濃度測定は、阻害剤自身が測定波長に大きく影響を与えるため、実験系を確立するのに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
PMCAやNCK・NCKXの阻害剤を用いた細胞内Caイオン濃度測定を行う実験系については、これらの阻害剤による影響をうけない蛍光プローブのIndo-1 AMを使用することで測定可能であることが確認されたため、このプロープを用いて、単価ハプテンの添加がCaイオン排出ポンプへ与える影響を検討する。さらに、細胞骨格系タンパク質に関与するタンパク質の局在や相互作用の変化を免疫染色法や免疫沈降法を用いて検討する。 単価ハプテンによる活性化マスト細胞の抑制メカニズムの解明が進み次第、抗IgE単価IgG抗体の作製を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は端数であり、研究計画通りに執行されている。
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