2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis on the function of prostacyclin synthase expressed in macrophages in inflammatory diseases
Project/Area Number |
22K15283
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
落合 翔 昭和大学, 薬学部, 助教 (20943559)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロスタグランジン / プロスタサイクリン / マクロファージ / 脂質解析 / 敗血症 / リポ多糖 / セレキシパグ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、主にマウス敗血症モデルを用いたPGI合成酵素 (PGIS) の機能について解析した。昨年度の検討により、腹腔内マクロファージ (Mf) はプロスタサイクリン (PGI2) 産生能が高いことが分かったため、腹腔Mfにリポ多糖 (LPS) 刺激を行い、PGI2産生量に変化が生じるか検討した。LPS刺激により、腹腔Mfからの各種プロスタノイドの産生が有意に増加したが、その中でも特にPGI2の産生が顕著に増加していた。このことから、腹腔内MfがLPS刺激に対しPGI2産生を介して、LPSによる病態の進行に影響を与えることが考えられたため、LPS誘導マウス敗血症モデルを作成した。PGIS遺伝子欠損 (KO) マウスに敗血症を惹起したところ、LPSによる全身症状が野生型 (WT) マウスと比較し増悪し、LPS投与7日後までの生存率も有意に低下していた。次に、LPS投与3時間後における腹腔内液中のプロスタノイドをLC-MS/MSにより測定したところ、WTマウスにおいてPGI2の代謝物である、6-keto PGF1aが最も多く検出された一方、PGIS KO マウスでは、6-keto PGF1aは検出されず、他のプロスタノイド産生がシャンティングにより逆に増加していた。また、定量的PCRにて腹腔細胞中の炎症性サイトカインの遺伝子発現量を解析した結果、PGISの欠損によりTNF-aやIL-6の有意な増加がみられた。最後に、PGIS KOマウスにPGI2受容体 (IP) 選択的刺激薬であるselexipagの投与を行ったところ、LPSによる症状は大幅に緩和され致死率にも改善がみられた。以上のことから、LPS誘導性敗血症モデルでは、PGIS由来のPGI2がIP受容体を介して、敗血症の病態形成に対し抑制的に関与していることが示唆された。
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