2023 Fiscal Year Annual Research Report
MDB活用による抗がん剤誘発性末梢神経障害予防薬の確立
Project/Area Number |
22K15292
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
相澤 風花 徳島大学, 病院, 特任助教 (80848367)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 抗がん剤誘発性末梢神経障害 / 抗がん剤支持療法 / HMG-CoA還元酵素阻害剤 / glutathione transferase / 医療データ / AI創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はデータベース解析を通じて、HMG-CoA還元酵素阻害剤(HRI)の抗がん剤誘発性末梢神経障害に対する安全性と有効性について検討し、オキサリプラチン及びパクリタキセル投与時のHRIs併用は投与後の末梢神経障害発現の発現を増悪させないことが示唆された。この知見を基に、パクリタキセル誘発性末梢神経障害にHRIの有効性を明らかにし、作用点の探索を目的に、1)パクリタキセル誘発性末梢神経障害モデルマウスにHRIは有効であるか、2)HRIの作用標的はオキサリプラチンと共通であるか、3)制御される下流因子にはどのようなものがあるかの3点について検討を実施した。 その結果、1) HRIの同時投与によってパクリタキセル誘発性末梢神経障害モデルマウスの機械的アロディニア発現が抑制されること、アロディニア発現後1週間の時点から反復投与することでアロディニアを改善することが明らかとなった。くわえて、2) glutathione transferase(GST)阻害薬の併用によってオキサリプラチンと同様HRIのアロディニア改善効果が消失したことから、HRIが殺細胞性抗がん剤による末梢神経障害に対して抑制作用を示すメカニズムの一部にはGSTが共通していること、GSTシグナルの活性化が抑制に重要であることが示唆された。また、3) Pathway解析ソフトを用いて数的相関性からシグナル経路を予測したところ、GSTは抗がん剤誘発性末梢神経障害の原因及び介在因子であり、サイトカインやケモカインの発現や活性化調節に関与する可能性が示された。 以上から、HRIによるGSTシグナル制御が抗がん剤誘発性末梢神経障害の克服に向けた重要経路であることが示唆された。
|