2022 Fiscal Year Research-status Report
可溶性グアニル酸シクラーゼヘム鉄酸化還元状態の血管石灰化における意義解明
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22K15299
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田和 正志 大阪医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (10510274)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 可溶性グアニル酸シクラーゼ / 一酸化窒素 / 血管石灰化 / ビタミンD |
Outline of Annual Research Achievements |
病的な血管における可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)のヘム鉄は、一酸化窒素(NO)が結合できる二価の状態(還元型sGC)から結合できない三価の状態(酸化型sGC)あるいはヘム鉄が外れた状態(アポsGC)に変化することが知られている。しかし、このsGCヘム鉄酸化還元状態のバランスが石灰化を起こした血管においてどのように変化するのかについては明らかにされていない。この点を検証するため、過剰量のコレカルシフェロール(ビタミンD3;200,000 IU/kg)あるいはその対照としてリン酸緩衝生理食塩水をラットに単回皮下投与した。コレカルシフェロール投与7日後のラットから摘出した腹部大動脈にはコッサ染色で黒褐色に染まる石灰化病変が認められた。この腹部大動脈におけるNO供与薬(還元型sGCを刺激)およびsGC活性化薬(酸化型/アポsGCを刺激)の反応性を観察したところ、対照ラットの腹部大動脈における反応性と比較して、NO供与薬による弛緩反応には差がなかったものの、sGC活性化薬による弛緩反応は増強していた。次に、さらなる遠隔期におけるsGCヘム鉄酸化還元状態の変化を明らかにするため、コレカルシフェロール投与14日後においても上記と同じ項目を評価した。その結果、石灰化の程度は投与7日後より進行しており、また、NO供与薬による弛緩反応は減弱に転じ、sGC活性化薬による弛緩反応は差を認めなくなった。以上の結果から、血管石灰化を起こした早期の段階では酸化型/アポsGCが増えていることが類推される。ただし、sGCヘム鉄酸化還元状態のバランスやsGCの発現量は石灰化の進行とともに変化していく可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた研究を遂行できたため、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は血管石灰化のモデル動物としてビタミンD過剰モデルを使用したが、今回得られた知見が他の血管石灰化モデル動物にも共通するものかについては確かめなければならない。令和5年(2023)度の研究では、慢性腎不全性の血管石灰化モデルで検討する。
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Causes of Carryover |
消耗品の消費を抑えることができたことに加え、比較見積もりにより安価で物品を購入できたため次年度使用額が生じた。次年度は見送っていた消耗品の購入や学会報告なども予定しており、計画的に使用することを考えている。
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Research Products
(6 results)