2023 Fiscal Year Research-status Report
可溶性グアニル酸シクラーゼヘム鉄酸化還元状態の血管石灰化における意義解明
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22K15299
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田和 正志 大阪医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (10510274)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 可溶性グアニル酸シクラーゼ / 一酸化窒素 / 血管石灰化 / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は血管石灰化を引き起こすことが知られている慢性腎臓病(CKD)のモデル動物を用いて検討した。CKDはアデニンを0.25%混合した飼料をラットに自由摂取させることにより誘発し、アデニンを含まない標準飼料を摂取させたラットと比較した。対照ラットと比較して、アデニン摂取開始14日後のラットの血漿クレアチニン濃度は高値を示し、腎体重比も顕著に増加した。このラットから摘出した腹部大動脈における一酸化窒素(NO)供与薬(還元型可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)を刺激)の弛緩反応は対照ラットの腹部大動脈における反応と変わらなかった。また、sGC活性化薬(酸化型/アポsGCを刺激)の反応性もアデニン摂取ラットと対照ラットの腹部大動脈間で差はなかった。コッサ染色により石灰化の有無を確認したが、この時点ではアデニン摂取ラットの腹部大動脈に石灰化は生じていなかった。次に、さらなる遠隔期において検証するため、アデニン摂取開始28日後のラットについて上記と同じ項目を評価した。その結果、血漿クレアチニン濃度および腎体重比の値は14日後より高く、CKDは進行していた。しかし、NO供与薬やsGC活性化薬による腹部大動脈の弛緩反応はアデニン摂取ラットと対照ラット間で差がなかった。なお、この時点においても血管石灰化は認められなかった。以上の結果から、今回用いたアデニン摂取ラットはCKDを発症していたものの、腹部大動脈の血管石灰化は伴わなかった。したがって、sGCヘム鉄酸化還元状態がCKD依存的な血管石灰化を起こした血管においてどのように変化するのかについてはさらなる研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた研究を遂行できたため、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果から、石灰化を起こした血管ではsGCヘム鉄酸化還元状態が変化することが考えられる。令和6年(2024)度の研究では、NO/sGC経路の活性化が血管石灰化の進展を抑制するか否かを検討する。
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Causes of Carryover |
消耗品の消費を抑えることができたことに加え、比較見積もりにより安価で物品を購入できたため次年度使用額が生じた。次年度は見送っていた消耗品の購入や学会報告なども予定しており、計画的に使用することを考えている。
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Research Products
(8 results)