2023 Fiscal Year Research-status Report
徐放性DDSを応用した持効型mRNA医薬の開発と中枢神経系疾患への治療展開
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22K15322
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小川 昂輝 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (00911132)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | mRNA / 脂質ナノ粒子 / 徐放 / PLGA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、mRNA封入脂質ナノ粒子(mRNA-LNP)をPLGA粒子に封入し、徐放させることでmRNA-LNPの機能を持続化する製剤を調製することである。これまでに、mRNA-LNPとPLGA粒子を静電的に吸着させ複合体化することで持続的にmRNA-LNPを放出する製剤を調製した。しかし、in vitro評価において、PLGA粒子から放出されたmRNA-LNPの機能(mRNAトランスフェクション効率)が低いことが問題として挙がった。そこで、今年度は、mRNA-LNPの機能を向上させる戦略の開発に取り組んだ。mRNA-LNPは、水相のmRNAと有機溶媒相の脂質を混合することによって得られる(溶媒希釈法、アルコール希釈法)。本法は非常に完成された手法であり、有機溶媒には通常エタノールが用いられる。しかし、脂質を溶解する有機溶媒がmRNA-LNPの性質に与える影響についての情報はなかった。我々は種々の検討の結果、脂質をピリジンに溶解させてmRNA-LNPを調製することで、mRNA-LNPの品質、機能を向上できることを見出した。ピリジンで調製されたmRNA-LNPは、従来のエタノールで調製されたものよりも高い均一性を示した。また、培養細胞において、ピリジンで調製されたmRNA-LNPはどの有機溶媒よりも高いmRNAトランスフェクション効率を示し、これはLNPを構成する多くの脂質(イオン脂質、リン脂質)の組み合わせにおいて同様の結果が得られた。In vivoにおいても同様の結果が得られ、肝臓への毒性は従来のエタノールによるmRNA-LNPと同様の結果だった。以上より、溶媒組成に着目し、PLGAに搭載するための高機能なmRNA-LNPを調製することに成功した。今後はPLGAに搭載し、長期間にわたり高機能なmRNA-LNPを放出する製剤の開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
mRNA-LNPがPLGAに吸着した製剤の開発には成功したが、PLGAから放出されたmRNA-LNPの機能が低下するという問題が挙がり、これらに対して対処したため。
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Strategy for Future Research Activity |
PLGA粒子から放出されたmRNA-LNPの機能をin vitro, in vivoにおいて評価する。
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Causes of Carryover |
実験計画の軽微な変更によって前年度に購入した試薬が余ったため。剰余分は新たに必要となった試薬の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)