2022 Fiscal Year Research-status Report
AAVキャプシド中和抗体陽性者に対するAAVベクターを用いた遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
22K15323
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
綿野 亮太 自治医科大学, 医学部, 助教 (60883915)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / AAVベクター / 中和抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまで遺伝子治療の対象外とされてきた)AAVキャプシド中和抗体陽性者に対し、開発中の中和抗体回避法の実用化を待つことなく、現行の方法で効果発現可能な遺伝子治療法の開発を目的とする。2022年度は、以下の検討を行った。 1)中和抗体価を従来の方法より感度よく定量できる新規中和抗体測定法の開発を行った。培養細胞を用いた中和抗体測定法において、AAVベクターを細胞に感染させる際、培養液中にグルコースを一定濃度添加することで、AAVベクターの遺伝子発現が有意に上昇することを確認した。また、発光量の高いレポーター遺伝子を搭載したAAVベクターを細胞に感染させ、当研究で見い出した感染誘導試薬のグルコースを添加することで、従来の中和抗体測定法よりも有意に高い中和抗体測定感度を示す新規中和抗体測定法を確立した。 2)AAVキャプシド中和抗体陽性マウスの作製と、肝臓で遺伝子発現可能な中和抗体価の上限の明確化に向けた検討を行った。C57BL6/Jマウスに市販のヒト免疫グロブリン製剤を投与し、目的の中和抗体価を持つ)AAVキャプシド中和抗体陽性マウスを作製した。目的の中和抗体価を持つマウスにレポーター遺伝子を搭載したAAVベクターを低用量、中等量、または高用量血管内投与し、投与量ごとに、肝臓での遺伝子発現と中和抗体価の関係を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、初年度に従来の中和抗体測定法よりも有意に中和抗体測定感度の高い新規中和抗体測定法を確立することができた。また、ここまでの研究成果をまとめて、学会発表を1件行うことが出来たため、本研究課題は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、AAVキャプシド中和抗体陽性個体でも遺伝子発現可能なAAVベクターの投与条件の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、免疫グロブリン製剤・抗体製剤及びレポーターアッセイ試薬を用いた細胞実験及び動物実験と、実験に必要なAAVベクター作製が主である。次年度使用額が生じた理由は、2022年度(令和4年度)の実験に必要な経費として計上した消耗品費がその予定額を下回ったことによるものである。 使用計画としては、2023年度(令和5年度)より動物実験を本格的に開始していくため、それに伴う必要な経費を消耗品費として計上する予定である。また、本研究成果を報告するにあたり、国内および海外の遺伝子治療学の研究動向を知り、多くの研究者と広く意見・情報交換を行う必要があるため、国内および海外の遺伝子細胞治療学会の参加経費を計上する予定である。さらに、研究成果を論文として報告するため、英語論文校閲料および論文投稿料を計上する予定である。
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Research Products
(1 results)