2023 Fiscal Year Research-status Report
Verification of the preventive effect of activated vitamin K derivatives against skin rash caused by EGFR inhibitors
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22K15329
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
後藤 将太朗 福岡大学, 薬学部, 助教 (70825108)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ビタミンK / EGFR阻害剤 / プロドラッグ / 皮膚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor ; EGFR)を標的とした薬剤は、皮膚障害の副作用が高頻度で出現する。重度の皮膚障害は、治療薬の減量や中断を招く可能性があり、皮膚障害への対策は必須である。近年、キノン型であるビタミンKの局所製剤が皮膚障害の予防効果を示すことが報告されたが、ビタミンKには光分解および光毒性の性質があり、皮膚外用としての使用に課題があった。申請者らは光に安定な活性型ビタミンK(VKH)誘導体の開発しており、皮膚表皮角化細胞においても、キノン型ビタミンKと同等以上の炎症性ケモカイン生成抑制効果を示すことを明らかにしている。本研究では、さらなる展開としてVKH誘導体の皮膚障害モデル動物への有効性を明らかにする。 本年度は、Gefitinib(200mg/kg/day)の経口投与によって作製した皮膚障害モデルラットに対するVKH誘導体クリームの皮膚障害予防効果を評価した。投与期間終了後のラットを安楽死させ、背部皮膚を切除した。皮膚中のRNAを抽出し、リアルタイムPCRにより、炎症性ケモカインの発現を評価したところ、Gefitinib投与群はvehicle群と比較し有意に増加したが、Gefitinib投与+VKH誘導体塗布群では有意な減少は見られなかった。また表皮および真皮を含む皮膚切片をHE染色したところ、Gefitinib投与群で表皮の肥厚、リンパ球の増加が認められたが、Gefitinib投与+VKH誘導体塗布群において有意な減少効果は見られなかった。この理由として、除毛が完全でないため体毛により皮膚への薬剤の浸透が妨げられ効果が不十分であった可能性や、薬剤の塗布に使用した基剤が適切でなかった可能性が考えられる。現在、薬物の様々な基剤を使用して皮膚吸収性の評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Gefitinibによる皮膚障害モデルの作製に至ったが、皮膚からのVKH誘導体の吸収性が不十分の可能性があり、皮膚障害予防効果については正確な評価ができていない可能性がある。適切な基剤の選択などに労力を割き計画が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な基剤を使用してVKH誘導体をラット皮膚に塗布し、薬物の皮膚吸収性について評価する。その後、吸収性が高いと予想された基剤を使用して、皮膚障害モデルラットへの薬剤の塗布を行うこととする。体毛の影響が払拭できない場合は、ヘアレスラットの使用についても検討する。
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Causes of Carryover |
モデル動物の作製は成功したもの、VKH誘導体の効果を十分に得られなかった。この理由として、VKH誘導体を皮膚へ送達するための基剤が適切でなかったことや、体毛による影響が考えられた。これらのことから予定していた評価ができず次年度使用学が生じた。今年度は、使用額の範囲内で適切にVKH誘導体の効果を評価する。具体的には、基剤別のVKH誘導体の皮膚吸収濃度や、高い吸収を示した基剤を用いて、皮膚障害に対する効果評価を予定している。
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