2022 Fiscal Year Research-status Report
がん悪液質の病態時におけるCYP3A活性の定量評価とグレリン様作用薬の影響の解明
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22K15338
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 聖 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤主任 (70833482)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | がん悪液質 / CYP3A活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん病態時における薬物代謝能力の低下は、がん薬物療法への忍容性低下を引き起こす。本研究では、がん悪液質の病態時におけるCYP3A活性を評価するための試験を実施した。 浜松医科大学病院において、オキシコドン徐放錠を内服しているがん患者を対象とした。がん悪液質の進行度は、Fearonらの国際基準を用いて、前悪液質群、悪液質群、不応性悪液質群に分類した。炎症マーカーの評価として血中CRP濃度および血中IL-6濃度を評価した。また、CYP3A活性の評価としてLC-MS/MS法により、4β-水酸化コレステロール(4β-OHC)の血中濃度を測定した。本研究は、浜松医科大学の生命科学・医学系研究倫理委員会の承認を受け実施した。 対象患者における悪液質の進行度は、前悪液質群で14名、悪液質群で39名、不応性悪液質群で17名であった。血中CRP濃度の中央値は、前悪液質群で0.26 mg/dL、悪液質群で2.00 mg/dL、不応性悪液質群で3.16 mg/dLであった。また、血中IL-6濃度の中央値は、前悪液質群で13.2 pg/mL、悪液質群で33.8 pg/mL、不応性悪液質群で47.0 pg/mLであった。血中4β-OHC濃度の中央値は、前悪液質群で40.5 ng/mL、悪液質群で38.3 ng/mL、不応性悪液質群で37.4 ng/mLであった。がん悪液質の進行に伴い炎症マーカーは高値を示したものの、がん悪液質の進行度と血中4β-OHC濃度の間に関係性は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
がん悪液質の病態時におけるCYP3A活性マーカーとして4β-水酸化コレステロール濃度の定量を行ったものの、予想に反して、がん悪液質の進行に伴う低下が認められず、その他のCYP3A活性マーカーを検討する必要が生じた。グレリン様作用薬がCYP3A活性に与える影響を評価するための臨床試験は、CYP3A活性マーカーを確立できてから開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に評価を行った4β-水酸化コレステロールに加えて、新たに25-水酸化ビタミンDをCYP3A活性マーカーとして評価する予定である。また、内因性のCYP3A活性マーカーでは評価が難しい場合には、CYP3A基質薬剤をモデル薬剤としてCYP3A活性を評価することも計画している。
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Causes of Carryover |
CYP3A活性マーカーの評価として用いた4β-水酸化コレステロールの定量法はすでに当院で確立していたため、予定していたより購入費が抑えられた。令和5年度にはアナモレリンの血中濃度測定、血中microRNAの測定、摂食調節ペプチドの測定に必要な消耗品にあてる計画である。
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