2022 Fiscal Year Research-status Report
ビッグデータを用いた漢方薬によるがん免疫療法の効果増強療法・副作用軽減療法の確立
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22K15339
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
牛尾 聡一郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (80939893)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | がん免疫療法 / 漢方薬 / 免疫チェックポイント阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん免疫療法で用いられる抗PD-1抗体ニボルマブの効果を増強する漢方薬および副作用を軽減する漢方薬を抽出することを目的として、リアルワールドデータの解析を行った。対象は、ニボルマブを使用した肺がん患者とした。本研究では、保険者ベースおよび医療機関ベースの2種類のレセプトデータベースを用いて、漢方薬併用患者と非併用患者におけるニボルマブの総投与量および治療期間を指標として解析を実施した。 漢方薬については、補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯の3薬剤に注目して解析を行ったところ、統計学的な有意な差は認められなかった。その要因として、解析対象群が約2,000例であったが、該当する漢方薬併用患者が10例程度と想定よりも非常に少ないことが原因であると考えられる。2種類の異なるレセプトデータベースを用いたが、どちらのデータベースにおいて十分な症例数を得ることができなかった。 そこで、リアルワールドデータの解析によるスクリーニングの解析に加えて、新たなアプローチとしてヒトマクロファージ細胞を用いたRNAシーケンスによるスクリーニングを行った。すでに炎症反応に対する作用が明らかとなっている補中益気湯を解析の対象薬剤として、補中益気湯曝露によって誘導される遺伝子群の特定を目指し、エンリッチメント解析およびパスウェイ解析を実施した。その結果、補中益気湯の曝露によって炎症反応を抑制するように遺伝子群の誘導が行われることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の実験計画では、がん免疫療法で用いられる抗PD-1抗体ニボルマブの効果を増強する漢方薬および副作用を軽減する漢方薬を抽出し、細胞実験へ移行する予定であった。しかしながら、レセプトデータベースにおいて十分な症例数を確保することができなかったため、異なった特性のレセプトデータの解析を行った、しかしながら、2つのデータベースにおいても解析に耐えうる症例数を確保することができなかった。そこで、我々が実施した動物実験において、その作用メカニズムの一端が明らかとなっている補中益気湯を使って、RNAシーケンスによるスクリーニングを行った。本研究結果は、これまでの研究結果を裏付けるものであった。また、これまで着目していた遺伝子群とは異なった特徴を持つ遺伝子の誘導が認められた。リアルワールドデータで充分な解析ができなかったが、他の実験手法によって結果をえることができた。これらの状況を勘案して、研究状況をやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
1. リアルワールドデータを用いた候補漢方薬の探索 症例数の確保が重要と考える。対象とするがん、対象とする漢方薬を絞らず網羅的な解析に変更して実施する。 2.漢方薬の作用機序解明 RNAシークエンスの結果より、補中益気湯が炎症反応に対する作用が明確となった。そこで補中益気湯の単独での効果だけでなく、当初計画していた併用効果の検証を実施する。また、新たに明らかとなった遺伝子群の発現変化に関して、mRNAの定量およびタンパク質の発現変化についても検討を行うことを予定する。 以上の方策を実施することによって、当初の実験計画および目標を達成できると考える。
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