2022 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮障害に着目した薬剤性腎障害の発症機序の解明と新規治療戦略の確立
Project/Area Number |
22K15342
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山田 悠人 岐阜薬科大学, 薬学部, 客員共同研究員 (80775172)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シスプラチン / 腎障害 / グリコカリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はシスプラチンによる薬剤性腎障害の発症メカニズムについて、血管内腔のグリコカリックス(GLX)に着目し、GLXの脱落が薬剤性腎障害の発症および重篤化に及ぼす影響について検討するものである。 2022年度はGLXノックアウトマウスを用いてGLXの脱落が組織へのシスプラチン移行を助長し、薬剤性腎障害を誘発する仮説を立証するため、まずは血中、尿中、組織中のシスプラチン濃度測定系の構築を行った。これまで報告された測定法を参考に、有機溶媒を用いた除タンパク法と逆相条件でのHPLC-MS/MSを用いたシスプラチンの測定系の構築に着手した。 逆相カラムで水およびメタノールの移動相条件でシスプラチンのイオン化効率を確認したが、酸性(pH=4)・中性(pH=7)・塩基性(pH=9)条件いずれもシスプラチンのイオン化効率を確認したところ、酸性条件下の方がイオン化効率がよいことが分かった。その他にもアセトニトリルへの変更や、酢酸アンモニウムやギ酸アンモニウム等の緩衝液の追加など様々な移動相条件で検討したが、最も感度良く測定できた0.2%ギ酸入りアセトニトリルと0.2%ギ酸入り水を用いた移動相条件でも定量限界は約10μg/mLであった。マウスにシスプラチンを投与した際の想定される下限濃度は約0.1μg/mLg/mLであり、実検体の測定は難しいことが予想された。 そのため、現在はジエチルジチオカルバミン酸を用いたシスプラチンを誘導体化に着目し、より高感度に測定できる系の確立を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの文献報告を参考にすれば、十分な感度が得られるHPLC-MS/MSを用いたシスプラチンの血中・組織・尿中測定系の構築が可能であることを見越していたが、文献通りの感度を再現できず、シスプラチン測定系の構築に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、シスプラチンを誘導体化したHPLC-MS/MSの測定系の構築を進めているが、それでも十分な感度が得られない場合、ICP-MSを用いた測定方法へ変更も検討している。ICP-MSを用いた測定方法で濃度測定は可能であることを確認しているが、外注による測定になるため、ランニングコストが非常に高く、可能であればHPLC-MS/MSによる測定法の確立を目指したい。測定法が確立でき次第、GLXノックアウトマウスを用いてGLX脱落と薬剤性腎障害発症の関連性について検討していく。
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