2023 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習アプローチによる薬物性肝障害の発症に寄与する未知の薬物間相互作用の検出
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22K15347
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
秋元 勇人 日本大学, 医学部, 助教 (80847658)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 薬物間相互作用 / リアルワールドデータ / 機械学習 / データマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、検出された2種薬物間相互作用が引き起こす薬物性肝障害(DILI)の発症メカニズムが、患者の免疫反応が関与する患者特異的なDILI (idiosyncratic DILI)と薬物用量依存的なDILI (intrinsic DILI)のどちらであるかを調査する研究を実施した。両者を区別するに、興味ある2種類の薬物の用量(平均1日量)や累積投与量、その薬物の使用期間を連続量として特徴量に加え、DILIの有無を分類する分類問題を解く必要があり、2023年度初頭はこれを試みた。しかしながら、このプロセスは薬物の使用という1つの特徴量を、用量、累積投与量、使用期間という3つの特徴量に増やす作業であり、サンプルサイズに対して特徴量数が大きくアンバランスとなり、機械学習モデルが訓練データに対し過剰適合(over-fitting)し、未知データへの予測性能が低値を示した。したがって、解析結果からは興味ある2種薬物間で発生したDILIがidiosyncraticであるかintrinsicであるかを判断可能な十分な科学的根拠は得られなかった。 2年間にわたる研究期間全体を通して、大規模なリアルワールドデータからDILIのリスクを複合的に増加させる薬物の組み合わせとして、ジクロフェナクとファモチジンが検出された。最終年度で実施した解析結果からは、この組み合わせによるDILIの発症が患者特異的であるのか用量依存的であるのかは明らかにできなかった。しかし、リアルワールドにおけるDILIの予測という点では、線形回帰に代表される従来の統計解析手法と比較し、機械学習アルゴリズムはより高い精度で予測することが可能であり、加えて機械学習モデルを解釈することで、潜在的な薬物間相互作用の候補を抽出することが可能であることを本研究では示すことが出来たと考える。
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