2022 Fiscal Year Research-status Report
The astrocytic modulation of sleep oscillation
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22K15369
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
周 至文 北海道大学, 医学研究院, 助教 (80915819)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 睡眠 / アストロサイト / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グリア細胞の一種であるアストロサイトに着目し、睡眠脳波の形成メカニズム とその生理的意義の解明を目指す。アストロサイトの活動を観察し、操作することで、アストロサイトがどのタイミングで睡眠脳波に参加するか、そのシグナルは睡眠脳波の発生、頻度と伝播に影響するかどうかを観察する。 今年度の進展として、まずアストロサイト特異的にcAMPセンサーを発現させるためのアデノ随伴ウイルス(AAV)を作製し、その機能を確認した。今回はPinkFlamindoを使用した。PinkFlamindoは赤色蛍光を発するセンサータンパク質であり、cAMPと結合することで赤色蛍光を発する。作製したAAVマウスの海馬へインジェクションし、発現を免疫組織化学で検証したところ、赤い蛍光を持つPinkFlamindoはアストロサイト特異的な発現を示した。また、AAVをマウス皮質培養アストロサイトに処置し、PinkFlamindoを発現させた。培養アストロサイトにForskolinを処置し、細胞内のcAMPを上昇させたところ、PinkFlamindoの蛍光強度が上昇した。このことから培養アストロサイトに発現させたPinkFlamindoはcAMPセンサーとして機能することがわかった。 また、アストロサイトの細胞内シグナルを睡眠中でイメージングするために、GRINレンズによるイメージング技術を習得した。GRINレンズのイメージングにより、GCaMP7を発現する神経細胞のカルシウムシグナルを観察することに成功した。また、アストロサイトにPinkFlamindoを発現させた場合、GRINレンズを介してアストロサイトのcAMPシグナルも観察できた。 その他にも睡眠脳波の記録と解析方法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イメージングの実験に必要なレーザー装置の納品はコロナ禍による中国のロックダウンにより大幅に遅れてしまったため、実験の開始が遅くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、GRINレンズによるイメージングと電極による睡眠脳波の記録を同時に行えるように、実験系を立ち上げたいと考えている。それに、自由行動下の睡眠動物から記録された脳波と、アストロサイトの細胞内シグナルを照らし合わせることで、アストロサイトによる睡眠脳波への関与を検証することができる。特に、今まで観察されなかったcAMPシグナルについて調べる予定である。 次にアストロサイトのシグナルを操作し、睡眠脳波に与える影響を調べる。イメージングの実験と照らし合わせて、アストロサイトの特異的にcAMPシグナルを活性化させるmlc-tTA::TetO-PACマウスを用い、アストロサイトのcAMPシグナルを操作し、睡眠に与える影響を確かめる。 また、アストロサイトの機能としてイオンのバッファーリングやシナプス可塑性の調節などが挙げられる。それらは睡眠脳波の伝播、頻度およびアンプリチュードなどの性質に影響を与えうる。そのため、これらの機能と深く関わるgap junction、乳酸の輸送、D-serineシグナルを遮断することで、睡眠脳波に生じる変化を観察する。
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