2022 Fiscal Year Research-status Report
創薬基盤となる脂質によるイオンチャネル活性・動態調節機構の統括的理解
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22K15373
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
好岡 大輔 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00883084)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電位依存性カリウムチャネル / イノシトールリン脂質 / PIP2 / 1分子イメージング / ケージドリジン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イノシトールリン脂質PIP2による電位依存性カリウムチャネル制御について、活性制御と動態制御の両面から解析し、両者の相関関係を明らかにすること目指している。まず、既報を参考にして選定したKCNQ3のPIP2作用部位に変異導入した変異体を多数作成し、海馬ニューロンにおけるイオンチャネルの空間動態を共焦点および1分子イメージング解析した。その結果、変異型KCNQ3は細胞体や樹状突起と比較してAISに対して優先的に輸送されるものの、その細胞表面発現量は野生型と比較して有意に減少することが分かった。また、そのトラフィッキング効率の低下は変異体のイオンチャネル活性(電流密度)に相関していた。さらに、これら変異型KCNQ3を野生型KCNQ2と共発現させると、野生型KCNQ2のトラフィッキングを阻害することも確認できた。次に、1分子イメージングによって変異型KCNQ3の空間動態をより詳細に解析し、3次元的な空間動態のどの過程に変化が生じているのか調べた。その結果、まずKCNQ3の側方拡散動態は拡散係数の異なる3種類の状態に分類でき、変異型KCNQ3では遅い拡散状態の割合が10%程度有意に減少し、逆に速い拡散状態の割合が10%程度増加することが判明した。最後に、ケージドリジン系を確立するためにKCNQ3(K260TAG)変異体を作成した。本年度はこの変異体のPIP2親和性を光操作するまでは至らなかったが、合成ケージドリジンがKCNQ3(K260TAG)変異体へ正常に組み込まれることまでは蛍光イメージングと全細胞パッチクランプにより確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では次の3つの計測を計画している。(1)PIP2親和性とKCNQ3活性・動態の相関解析、(2)細胞膜におけるPIP2の量と空間分布がKCNQ3活性・動態に与える影響の検証、(3)KCNQ3の活性・動態制御におけるPIP2とK+チャネル開口薬の相乗・拮抗効果の検証。この内、本年度は研究計画(1)を8割方遂行することが出来た。また、研究計画(2)、(3)で使用する試薬やプラスミドも用意でき、予備実験も既に開始できている。そのため、本年度の研究進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画(1)については、当初予想していた通り、ケージドリジン系の立ち上げが最も困難であるため、次年度はこれに専念する。特に、ケージドリジンが培養細胞に対して非常に毒性が高い可能性があるため、使用濃度の検討を行うほか、卵母細胞発現系を用いた実験も並列して進めていく。また、研究計画(2)、(3)についても、基礎となるイメージング計測系は既に確立できているため、PIP2量や細胞骨格などに作用する薬剤、またはチャネル開口薬がイオンチャネルの空間動態へ及ぼす影響を順次検証していく。
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Causes of Carryover |
本研究の遂行のために必須となるケージドリジン系の立ち上げに予定よりも期間を要したことや、幸いにも本研究課題について財団からの研究助成も受けられたこと等により、次年度使用額が生じた。次年度においては、継続的に神経細胞培養を行うために必要な消耗品、薬理学実験やイメージング計測で扱う試薬のために予算を使用する。また、これまでに得られた成果を発表するためにも予算を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)