2022 Fiscal Year Research-status Report
Rac1シグナルを標的とした新規骨粗鬆症治療薬開発のための基礎研究
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22K15374
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
大西 勇気 広島国際大学, 薬学部, 助教 (20847892)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / Rac1 / PTH |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、PTHが骨芽細胞内のRac1に与える影響を検討する。PTHによってRac1が不活性化されることが確認できた場合、PTHにより発現誘導される骨芽細胞分化マーカやRANKLがRac1が発現上昇するのかを確認し、PTHとRac1の骨代謝に対する作用が連関しているかをin vitro解析により明らかにする。まず、PTHによってRac1が不活性化されるのかを以下の実験で検証した。マウス骨芽細胞株MC3T3-E1細胞にPTHを単独添加し、タンパク質を回収後、Rac1 activation assayを行い、活性化Rac1(GTP-Rac1)を検出した。その結果、PTHの単独添加によりGTP-Rac1の発現が低下し、Rac1が不活性化されることが確認された。続いて、PTHによって発現誘導される骨芽細胞分化マーカーとRANKLがRac1の不活性化によっても発現上昇されるのかを確認するために以下の実験で検証した。MC3T3-E1細胞にRac1阻害剤(NSC23766)を用いてRac1を不活性化し、骨芽細胞分化マーカー(Runx2、Col1a1、Osteocalcin)、RANKLのmRNA発現をReal time PCR法により検出した。その結果、Rac1阻害剤の添加によってRunx2、Col1a1、RANKLのmRNA発現には変化がみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MC3T3-E1細胞へのRac1阻害剤の添加により骨芽細胞分化マーカーやRANKLの発現に変化がなく、その条件検討などに時間を要したため、当初予定していたRac1阻害剤によるMC3T3-E1細胞の石灰化評価や培養破骨細胞Raw264.7細胞との共培養による骨吸収活性の評価を行えていない
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、MC3T3-E1細胞に対するPTHの添加がRac1の活性を低下することが分かった。しかし、Rac1阻害剤を処置した骨芽細胞ではRac1阻害剤未処置と比較して、骨芽細胞分化マーカーやRANKLの発現に変化がなかった。これはRac1阻害剤が一時的なRac1不活性化しか引き起こせず、骨芽細胞分化マーカーやRANKLの発現には影響しなかったと考えられる。 今後はCrispr cas9を用いてRac1を恒常的に不活性化することができるRac1のノックアウトを行う予定である。これにより、PTHによる骨芽細胞分化とRANKLの発現に与える影響を比較検討する予定である。
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Causes of Carryover |
MC3T3-E1細胞へのRac1阻害剤による骨芽細胞分化マーカーやRANKLの発現に変化がなく、また、条件検討などに時間を要したため、当初予定していた研究の試薬等に費用を充てることができなかった。
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