2023 Fiscal Year Annual Research Report
染色体安定性維持におけるモーターアダプター分子JSAPの役割とその分子機構
Project/Area Number |
22K15378
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 隆介 金沢大学, がん進展制御研究所, 博士研究員 (70882215)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 染色体安定性 / 紡錘体形成チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体安定性制御因子の細胞分裂期における時期特異的な局在が、正確な染色体分配の遂行に重要であることが示唆されている一方で、その時空間的制御については未だ十分な理解に至っていない。本研究では、モーターアダプターJSAPに着目し、染色体安定性の制御機構の解明を目指す。本年度の成果は以下の通りである。 (1)時期特異的なJSAP2発現亢進を行うため、ヒト正常二倍体不死化RPE-1細胞を用いて、Tet-ONシステムによりJSAP2及びその機能欠損変異体の発現を誘導可能な細胞系を作製した。 (2)タイムラプス解析により細胞分裂期の染色体動態を詳細に解析したところ、JSAP2発現亢進は、染色体分配異常に加えて、核膜崩壊から染色体分配に至るまでの時間の短縮を引き起こすことを見出した。このような分裂期の短縮化は、染色体安定性制御機構の一つである紡錘体形成チェックポイントの異常に起因することが報告されている。 (3)免疫細胞染色により分裂期の細胞における紡錘体形成チェックポイント(SAC)構成因子の細胞内局在を解析したところ、JSAP2発現亢進によりこれらもタンパク質の動原体での局在量が減少していることを見出した。SAC構成因子の動原体での局在量の減少は、SACの活性低下を引き起こし、染色体の分配異常を誘導することが報告されている。これらのことから、JSAP2は、SAC構成因子の局在制御を介して染色体安定性の制御に関与することが示唆された。 (4)JSAP2のモーターアダプター機能と染色体安定性制御との関連について詳細を明らかにするため、近年報告されたダイニン中間軽鎖1との相互作用を特異的に欠損した変異体(JSAP2_V55Q)を作製し、発現誘導を行ったところ、染色体安定性の異常は認められなかった。この結果から、JSAP2とダイニンの相互作用が、染色体安定性の制御において重要であることが示唆された。
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