2022 Fiscal Year Research-status Report
直鎖状ユビキチン鎖生成亢進の自己免疫疾患への寄与の解明
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22K15379
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伏屋 康寛 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (60866523)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | LUBAC / HOIL-1L / linear ubiquitin chain / SLE / Sjogren's syndrome / RBCK1 |
Outline of Annual Research Achievements |
直鎖状ユビキチン鎖(直鎖)を特異的に生成するLUBACユビキチンリガーゼ(E3)は直鎖生成の活性中心を有するHOIP、アクセサリー分子であるHOIL-1L、SHARPINの三者複合体からなり、刺激依存的なNF-kappaB活性化、細胞死抑制に関与する。LUBACは直鎖を生成するHOIP以外に、HOIL-1LもE3リガーゼ活性を有する非常にユニークなE3複合体である。応募者は機能が不明瞭であったHOIL-1LのE3活性の解析に着手し、LUBACの副活性であるHOIL-1Lリガーゼが主活性であるLUBACの生理機能を抑制するというユビキチンリガーゼの新たな制御様式を発見した。上記を利用してHOIL-1LのE3機能を低下させることでLUBACの機能が顕著に亢進するマウスを作出したところ、全身性エリテマトーデス(SLE)に特徴的な自己抗体が陽性でSLE様の腎炎を来すことを見出した。LUBACは獲得免疫及び自然免疫両者の機能維持に重要な働きをすることは知られているが、LUBAC機能亢進マウスでは、B細胞・T細胞・マクロファージ全てにおいて活性化していることを見出た。さらに、ヒトでHOIL-1LのE3活性を低下させることでLUBACの機能を顕著に上昇させる一塩基多型(SNP)/一塩基バリアント(SNV)を同定し、同SNP/SNVがコントロール群と比較して統計学的に有意にSLE患者群で集積していることを明らかにした。 以上よりHOIL-1LはSLEの新規疾患感受性遺伝子であり、また直鎖状ユビキチンシグナルの亢進は自然免疫・獲得免疫系の異常な活性化を介してSLEの病態に関わることを明らかとした。上記内容を発表するために、現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究結果をまとめ、論文を投稿するところまでは至ったことから、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは現在投稿中の論文に関して、学術雑誌に掲載される為に必要な追加実験(リバイスで要求された実験)及び原稿の改訂などを行うことを最優先とする。また今回の研究からLUBACの機能亢進がSLEの病態に関わることが示唆されたため、LUBAC阻害剤の取得を目指して化合物探索を進めていく。
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Causes of Carryover |
2万1043円分が次年度に繰り越したが、予定よりも若干早く研究が進み、その分必要とする物品費が少なくなった為。
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Research Products
(1 results)