2023 Fiscal Year Annual Research Report
カニクイザルES細胞を用いた減数分裂期卵母細胞の試験管内誘導
Project/Area Number |
22K15380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
茂谷 小百合 京都大学, 高等研究院, 助教 (30792428)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カニクイザル / 再構成卵巣 / 卵母細胞様細胞 / 第一減数分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞系譜は、発生初期に形成される始原生殖細胞(Primordial germ cell, PGC)に由来する。PGCは卵原細胞、卵母細胞を経て、成熟卵子となる。成熟卵子の発生過程には非常にダイナミックかつ綿密な制御機構が存在するにも拘わらず、哺乳類では該当時期が胎児期であるため、ヒトでほぼ未解明である。これを解決するため、非ヒト霊長類モデル生物であるカニクイザルを用いて、霊長類雌性生殖細胞発生過程を試験管内で再構成することを目的として研究を行ってきた。 前年度、「2ステップ再構成卵巣法(1段階目で卵原細胞様細胞へ、2段階目で卵母細胞様細胞へ誘導する方法)」によって、第一減数分裂期初期のカニクイザル卵母細胞様細胞を試験管内で誘導することに世界で初めて成功し、国際学術誌に発表した。しかし、2ステップ再構成卵巣法では、第一減数分裂特有の染色体の凝集や対合が再現されていない。そこで、本年度は、第一減数分裂期を試験管内で完遂させることを目標とした。 まず、3ステップ再構成卵巣法の検討を行った。すなわち、2ステップ再構成卵巣法で得られた卵母細胞様細胞を分取し、マウス胎児卵巣体細胞と再々凝集、培養した。しかしながら、さらに減数分裂が進んだ卵母細胞を得ることはできなかった。これは、再々凝集後卵母細胞が死滅したことによると考えられた。そこで次に、現行の2ステップ再構成卵巣法を基に培養法の改良を試みた。具体的には、2ステップ目の培養条件を以下のとおりに検討した、①低濃度ウシ血清の使用、②アルギン酸ゲルを用いた三次元培養、③レチノイン酸含有培地での培養。しかしながら、いずれの条件においても染色体の凝集や対合を再現することはできなかった。今後、腎被膜下移植法による再構成卵巣の分化誘導や、トランスクリプトームデータから必要因子を探索することで、本研究の目的が達成されることを期待する。
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Research Products
(1 results)