2023 Fiscal Year Research-status Report
シアストレスによる血管内皮特異的TMEM100発現調節と細胞骨格制御の分子機構
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22K15387
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
橋本 大輝 近畿大学, 医学部, 助教 (40911342)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 内皮細胞 / シアストレス / TMEM100 / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
Transmembrane protein 100 (以降Tmem100)の遺伝子欠損は、血管系の異常を示し致死となることから、Tmem100は血管形成に必須の因子である。今年度の研究では、昨年度同定した動脈特異的なエンハンサー領域を欠損させるとTmem100遺伝子欠損マウスと同様の表現型を示し、同定したエンハンサー領域が、血管内皮細胞における発現を単独で制御していることを示唆している。このエンハンサーに結合しうる転写因子群の探索をレポーターアッセイにより実施し、内皮細胞での特異的な発現を制御する転写因子Xに加えて新たに転写因子Yを同定した。血管内皮細胞は血流による力学的なストレス(シアストレス)を感知して内皮細胞自身の遊走性や形態を変化させることで血管の構造の維持に寄与している。Tmem100エンハンサー領域は、内皮細胞に対してシアストレスを負荷した際に活性化することが明らかとなった。転写因子Yの結合部位に変異を導入したエンハンサーはシアストレスに対する応答性を失うことから、今回同定した転写因子Yが血流の変化を伝えるメッセンジャー因子であることを示唆している。以上の結果は2つの転写因子がそれぞれ別の働きを有していることが想定される。機能解析では、網羅的解析から得られた候補因子とTmem100の結合性をin vitro実験にて検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tmem100の内皮特異的転写発現制御解析についてはTmem100エンハンサーを活性化させる2つの転写因子を同定し、それぞれが異なる働きを持っていることを明らかとしている。機能解析についてもTmem100と結合しうる候補因子の中から細胞骨格の制御や細胞間接着因子に関与するものを選び出し、Tmem100との結合性を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
転写制御解析については2つの転写因子の上流シグナルについて阻害剤や受容体変異などを用いて更に解析を進める予定である。機能解析についてもHUVECやHUAECなどの細胞を用いたin vitro実験と血管内皮細胞特異的誘導型CreマウスとTmem100floxマウスを交配することで血管におけるパートナータンパク質の局在や細胞骨格因子、内皮細胞同士の接着の変化などに注目して解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
2024年4月より所属研究機関への異動が決定した。そのため異動手続きや研究試料の移動が必要となり物品費の使用が予定より少なくなったため次年度使用額が生じた。 次年度はin vivo(組織学的解析等), in vitro(細胞培養実験等)実験に使用する物品を中心に使用する。また最終年度となるため論文投稿や学会発表など本研究計画で得られた成果をまとめ、国内外に発表する経費にも使用する予定である。
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