2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞内のレドックスバランスを制御するChaCファミリーの病態生理機能の解明
Project/Area Number |
22K15388
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
本間 拓二郎 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70743566)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ChaC1 / グルタチオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲノム編集によりChaCファミリーの遺伝子欠損マウスを作製し、その表現型を解析することで、GSH代謝におけるChaCの生体内機能を明らかにする。また、ChaC欠損マウスの解析に加えて、我々が最近樹立したCNDP2との二重欠損マウスを作出し、GSH代謝との相互作用について調べる。さらにこうしたマウスに対する小胞体ストレス誘導剤やGSH枯渇ストレスの影響についても検討し、ChaCファミリーの欠損が各種病態に与える影響を明らかにする予定である。以上の検討により、ChaCファミリーの本来の生理機能を解明し、GSH再利用系の障害が各種病態に及ぼす影響を明らかにすることを目指している。まず、今年度は、マウス生体内でのChaCファミリーのGSH代謝における役割とChaC1・CNDP2を介したGSH再利用系の障害がレドックスバランスの維持に影響を与えることで生体にどのような結果をもたらすかを明らかにするために、ChaC1欠損マウスをゲノム編集により作出することを目指した。初めに、ChaC1遺伝子のexon 1を標的としたガイドRNAおよびCas9ヌクレアーゼを受精卵に導入し、変異の入った個体を作製した。マウス尾の電気泳動およびシーケンス解析の結果、異なる変異をもつゲノム編集マウスを数種得た。いずれもがヘテロ欠損マウスであり、主要臓器を用いたウェスタンブロット解析の結果、ChaC1タンパク質量に違いが認められなかった。その後、ヘテロ欠損個体同士を掛け合わせることで、ChaC1ホモ欠損マウスを2ライン作出することに成功した。いずれのラインも、ChaC1遺伝子が完全欠損しているのに関わらず、正常に発生して生存可能であることが明らかになった。また、今のところ、通常飼育環境で外見や行動観察上異常を認めず、生殖系に影響を与えていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の令和4年度の目標として、ChaC1欠損マウスがゲノム編集を用いて無事に樹立できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
ChaC1欠損マウスの個体数を増やす。その後、剖検を行い、血液検査 (肝臓ALT・腎臓BUN・心臓CPK)、組織学的解析 (H&E染色) を行う。血中ならびに主要臓器のGSH・Cys・Cys-Glyなどの代謝産物をLC-MSで測定して、GSH代謝系に異常があるかどうか、また、臓器間クロストークへの影響を明らかにする。ChaC1欠損マウスではとくにChaC1が恒常的に発現している膵臓や胃を中心に解析を行う予定である。ノックアウトすることで全身での表現型が認められない場合、ストレプトゾトシン誘発Ⅰ型糖尿病モデルや急性腎障害モデル(虚血再灌流障害)の導入を施し、腎障害時におけるChaC1を介したGSHの保護作用を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
大学の予算管理の都合で2月途中から使用できなくなったため、一部の購入予定試薬を4月以降の購入に変更したため。
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