2023 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌で高発現する新規環状RNAの機能解明とバイオマーカーとしての有効性の検証
Project/Area Number |
22K15390
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清宮 崇博 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (10930125)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環状RNA / circular RNA / 膵癌 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌をはじめ、様々な疾患で異常発現するRNAを網羅的に解析する手法として、RNAシークエンス解析が汎用されているが、通常のRNAシークエンス解析では解析の対象から外されてしまうRNAの一つとして環状RNAに着目し、膵癌で高発現する新規環状RNAを先行研究で同定している。先行研究にて、少数例での検討ではあるが、新規環状RNAは膵癌診断バイオマーカーとして有用である可能性を報告している。新規環状RNAの膵癌診断バイオマーカーとしての有用性をさらに検証するために、多様なステージを含む症例を対象に、膵癌患者およびIPMN患者の血液検体をを蓄積した。この中には、画像診断だけでは診断が困難であった症例や、早期診断症例など、臨床的にバイオマーカーのニーズが高いと考えられる症例も含まれていた。さらに、膵癌診断前、膵癌診断時の時系列で検体を回収し得た症例も数例蓄積することができた。このような症例は特に、膵癌の早期診断性能を評価する上で重要であるだけでなく、膵癌の発癌リスクの評価にも応用できる可能性があり、膵癌早期診断ストラテジーの確立に向けて貴重な情報を提供しうる可能性を秘めている。先行研究では、この新規環状RNAがエクソソームに豊富に存在する可能性を示唆する結果を得ていた。本研究期間中に、血液中から特定の表面抗原を持つエクソソームを濃縮する方法を開発した。血液中のエクソソームには、腫瘍由来のエクソソームと正常細胞由来のエクソソームが混在している。腫瘍特異的に発現する表面抗原をもつエクソソームを濃縮することによって、新規環状RNAを用いた膵癌診断の感度をさらに向上させる可能性が期待される。
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