2022 Fiscal Year Research-status Report
免疫応答におけるcGAS/STING/TBK1経路の新規制御機構の解明
Project/Area Number |
22K15398
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
東 覚 獨協医科大学, 医学部, 助教 (20813702)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自然免疫 / 自己免疫疾患 / TBK1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスや細菌由来の外来DNAを認識し、自然免疫応答を誘導する生体防御システムとしてcGAS/STING/TBK1経路が知られている。近年、この経路が細胞質に漏出した自己DNAに応答し、炎症病態を惹起して様々な自己免疫疾患の発症に関与することが報告されている。このシグナル伝達経路の中でTBK1は、上流シグナルが集約されるシグナル伝達ハブ分子にあたる。これまでの実験において、TBK1の結合分子スクリーニングを実施した結果、TBK1の新規結合候補分子Xを同定している。この分子Xは自己免疫疾患に関与することが示唆されており、当研究課題では、分子XによるTBK1の活性制御機構の解明と分子Xが関与するとされる自己免疫疾患の病態解明を目的としている。 当該年度ではTBK1と分子Xの結合様式の解析を実施した。まず、TBK1と分子Xの遺伝子クローニングおよび両分子のドメイン変異体の作製を行った。次にそれらを培養細胞に過剰発現させた後に、結合解析実験として共免疫沈降実験を行った。その結果、TBK1と分子Xは互いのコイルドコイルドメインを介して相互作用していることが明らかとなった。また、培養細胞において、内在性レベルのTBK1と同じく内在性レベルの分子Xとの結合を分子Xの抗体を用いた共免疫沈降実験にて確認した。次年度以降に予定している動物個体レベルでの解析に必要となる分子Xの遺伝子ノックアウトマウスについては、実験群の確保のためにヘテロマウスを掛け合わせ繁殖を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で研究活動に支障が生じ、交付申請資格である博士の学位の取得が遅れた。そのため、研究開始時期が後ろ倒しとなり当該年度のマウスを用いた実験計画に遅れが生じた。飼育スペースの関係上、マウスの増産は難しいため遅れを取り戻すことができなかった。 一方で、当該年度に予定していた各種遺伝子クローニングおよび結合様式の解析については計画通りに実施することができた。以上のことから本研究課題全般として、やや遅れていると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、分子Xによる TBK1活性化機構の検証として、培養細胞を用いて分子Xの遺伝子過剰発現細胞および遺伝子抑制細胞を作製し、TBK1のリン酸化レベルへの影響について、TBK1を活性化させる作用を持つDNA ligand、RNA ligandおよびSTINGアゴニスト等を使用し検証する。また、同様の手法で、TBK1の下流のシグナル分子であるIRF3のリン酸化レベルやIRF3によって誘導されるI 型インターフェロンであるIFNβの産生量を測定する。分子Xの遺伝子ノックアウトマウスに関しては引き続き交配を進め、同腹子の野生型マウスおよびノックアウトマウスの作出を進めるとともに、体重、組織重量や組織形態等について同腹子の野生型マウスとノックアウトマウスの比較を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で研究活動への支障が生じ、交付申請資格である博士の学位の取得が遅れた。そのため研究開始時期が遅れ、一部研究を計画通りに実施できなかったことにより次年度使用額が生じた。 遅れが生じた計画については、継続して次年度以降に実施する。
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