Pathological diagnosis of intravascular large B-cell lymphoma by multiple immunostainings focusing IMP3

2022 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 22K15424
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 藤本 正数 京都大学, 医学研究科, 講師 (90573676)
• Project Period (FY): 2022-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 血管内大細胞型B細胞リンパ腫 / IMP3 / 多重免疫染色

Outline of Annual Research Achievements

88人の血管内大細胞型B細胞リンパ腫（IVL）患者から採取された151個の病理検体を多施設から集積し、CD20およびIMP3の免疫染色と、IMP3/PAX5の二重免疫染色を行った。
うち、IVLと診断された111個の病理検体内に見られたIVLの腫瘍細胞は全てIMP3陽性であった。また、もとの病理診断ではIVL陰性であったIVL患者からの40個の病理検体のうち、11個の病理検体において、IMP3/PAX5の二重染色で陽性細胞が確認された。
さらに、臨床的にIVLが疑われたが、結果的にIVLでなかった非IVL患者から採取された19個の病理検体でも同様の免疫染色を実施したところ、IMP3陽性細胞を認める症例は少数存在するものの、IMP3/PAX5の二重染色では陽性細胞は認めなかった（p<0.05）。
もとの病理診断でIVL陰性と診断されたIVL患者からの病理検体のうち、IMP3/PAX5の二重染色陽性細胞が確認された病理検体は、骨髄から採取された検体が多かった。骨髄組織では、IVLの腫瘍細胞が多彩な非腫瘍血球のに混じって認められる事から、特にIVLの腫瘍細胞が少ない場合、その同定が通常の形態診断と免疫染色では難しい事が示唆された。
以上より、IVLの病理診断においてIMP3の感度が非常に高く、IMP3/PAX5の二重染色が、腫瘍細胞が少ない場合や、腫瘍細胞の密度が低い場合に、IVLの腫瘍細胞の同定に有用である可能性が示された。

Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

京都大学医学部付属病院および連携病院から、多数の血管内大細胞型B細胞リンパ腫（IVL）症例が集積できた（88症例）。さらに、上述した通り、IVLの腫瘍細胞において、IMP3が高頻度に発現している事が確認された（111/111検体が陽性)。また、IMP3/PAX5の二重免疫染色が、平田勝啓主任ら当科の技師の協力により、自動免疫染色を使う事で再現性をもって免疫染色可能になった。
このIMP3/PAX5の二重免疫染色は、IVLの腫瘍細胞が少ない場合や、多数の非腫瘍細胞に混じって認められる場合に、腫瘍細胞の同定に有用である事が分かった。さらに、非腫瘍細胞においてもIMP3の発現が見られる事がある一方で、IMP3/PAX5の二重免疫染色陽性細胞は非IVL患者から採取された検体では認められなかった事から、特異度も高い可能性が示された。
この様に、H&E標本とCD20の免疫染色を用いた従来の診断法では見落とされたいた可能性のある腫瘍細胞が、IMP3/PAX5の二重染色で同定できる可能性が示された事は、IVLを病理診断する上で非常に重要な発見であると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

上記のデータを本年度中にまとめて英語論文を執筆し、しかるべき雑誌に投稿する。論文投稿とほぼ同時に、United States and Canadian Academy of Pathology の Annual Meeting (2024年）にも演題応募する予定である。IVL患者から採取された検体数と比較して、コントロールとして解析した非IVL患者の検体数が少ない事が、研究を遂行する上での課題としてあげられる。さらにコントロールの解析症例数を増やすかどうか今後検討する必要がある。

Causes of Carryover

パラフィンブロックの薄切および未染色標本作製費用。免疫染色抗体の購入および免疫染色に必要な試薬の費用。論文の英文校正費用。論文投稿費用。海外学会発表の為の旅費。