2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト骨髄線維症において造血幹細胞移植により骨髄の造血支持能が回復する機序の解明
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22K15425
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉重 真沙子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10836422)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CAR細胞 / 造血幹細胞ニッチ / 骨髄線維症 / 造血幹細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血幹細胞ニッチの研究においては、CXCL12やSCFなどのサイトカインの遺伝子発現解析に、従来はFACSとqRT-PCRを組み合わせた方法が用いられており、近年ではシングルセル解析も実施されている。しかしながら、これらの方法では対象となる細胞を組織から単離する必要があり、結果としてターゲット細胞の組織内局在に関する情報が失われてしまう。我々は、骨髄線維症(MF)の造血微小環境を正確に解析するためには、骨髄組織を1細胞レベルでin situで解析する組織学的手法が不可欠であると考え、蛍光免疫染色とRNA in situ hybridizationを同時に行うin situ遺伝子発現解析法やin situキメリズム解析法を確立した。 ヒトの骨髄線維症(MF)の病理組織標本において、in situ遺伝子発現解析法を実施し、MFにおけるCAR細胞がI型コラーゲンの主要な産生細胞であることを確認した。また、MF患者の骨髄髄腔内のCAR細胞の単位面積あたりの数は正常コントロールと比較して有意に増加していた多重蛍光免疫染色を行い、MFにおいてCAR細胞の一部がαSMA陽性細胞に分化することが示唆される結果をえた。さらに、in situ遺伝子発現解析法により、MFの重症例ではCAR細胞におけるCXCL12の発現が低下しているが、造血幹細胞移植後の早期にCAR細胞がCXCL12産生能を回復することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
造血幹細胞移植前後のCXCL12の推移についての実験内容および結果は当初の計画通りであった。
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Strategy for Future Research Activity |
検体の収集をさらに進め、in situ キメリズム解析やNGS等を用いた解析を併せて検討する。
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