2023 Fiscal Year Research-status Report
ecDNAによるRTKの腫瘍内不均一性ならびに治療抵抗性機序解明と新規治療法探索
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22K15433
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
金山 和樹 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (20605943)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Extrachromosomal DNA / Receptor tyrosine kinase / 微小核 |
Outline of Annual Research Achievements |
Receptor tyrosine kinase (以下RTK)阻害剤に対する治療抵抗性機序の1つに腫瘍内不均一性が報告されているが、腫瘍内不均一性の形成機序や治療抵抗性のメカニズムは十分に解明されていない。本研究課題で着目しているExtrachromosomal DNA (以下ecDNA)は環状構造を示し、セントロメアを欠くというユニークな特徴を有することが知られている。近年、ecDNA数は腫瘍細胞間で大きく異なっており、数理モデルにより腫瘍内遺伝的不均一性を促進させることが報告された。しかし、腫瘍進展に重要となるRTKが組み込まれたecDNAの不均一な分離とRTKタンパク発現の不均一性ならびに治療抵抗性への直接的な関連性について明らかにされていない。昨年度、FGFR2が組み込まれたecDNAを有する胃癌細胞株SNU-16を用いてRTKが組み込まれたecDNAは癌細胞間で不均一性を示し、ecDNAは構造やコピー数を変化させることでRTK阻害剤に対する治療抵抗性に直接的に寄与することを明らかにした。本年度はecDNAを標的とした治療法の探索を目的に、ecDNAの排出に関わる微小核の形成と微小核内のecDNAをFISH法で解析を行った。その結果、癌細胞では微小核はある一定の頻度で形成されており、すべての微小核にRTKが組み込まれたecDNAが取り込まれる訳ではないことが分かった。一方、RTK発現の上昇したクローンおよび治療抵抗性クローンではRTKが組み込まれたecDNAの微小核内への取り込みが多く観察された。さらにこれらのクローンをRNA-seqで解析した結果、細胞外排出に関連する遺伝子発現が有意に上昇していた。これらの知見より、ecDNAの微小核内への取り込みと排出はRTKのコピー数と発現量の調節機能として働いている可能性が示唆され、治療応用へのさらなる検証を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FGFR2が組み込まれたecDNAの検証に多くの時間を費やしたため、HER2、MET遺伝子が組込まれたecDNAについてはまだ十分な検証ができていない。今後、実験スピードを上げてHER2、MET遺伝子についても同様の解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
EcDNAの微小核の取り込みと排出に関わる遺伝子発現についてさらなる調査を行い、治療応用へ可能性を模索する。また、選択的オートファジー(ヌクレオファジー)について解析を進め、ecDNAの除去の可能性について検証を行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた研究計画が少し遅れたため、次年度使用額が生じた。次年度計画している試薬購入費に使用する。
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