2022 Fiscal Year Research-status Report
微小炎症ネットワークの解明に資する全身全細胞解析技術の開発
Project/Area Number |
22K15435
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保田 晋平 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任講師 (90808859)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 組織透明化 / システムズバイオロジー / 全細胞解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、“微小炎症ネットワークの解明に資する全身全細胞解析技術の開発”である。これまで研究者らは炎症において重要な細胞・分子の同定に取り組んできた。しかしながら技術的な限界により、慢性炎症性疾患の発端である微小炎症の時空間的多様性・遷移状態を理解することは依然として困難である。多種類の免疫細胞群によって惹起される微小炎症ネットワークの理解には分離された細胞を対象とする解析手法だけでは不十分であり、個体内の細胞の位置情報を保持した状態で細胞の機能情報を包括的に解析する手法が必要である。 本研究課題提案者は多細胞システムの解析基盤技術として組織透明化技術、ライトシート蛍光顕微鏡および画像解析技術に着目し研究を推進している。2022年度は特に蛍光プローブ、ライトシート蛍光顕微鏡および画像解析技術の開発に取り組み、ヒト脳断面におけるアミロイド分布やマウス全脳におけるがん微小環境の相互作用、末梢神経系における微小炎症を解析することに成功した(Takahashi, Abe*, Kubota*, Fukatsu* et al., Nat. Commun. 2022 *equally contribution、Glaser, Kubota(5th) et al., Nat. Methods, 2022, Naim et al., Bio-protocol, 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題提案者はこれまでに個体内の細胞の位置情報・機能情報を包括的に解析する手法として組織透明化手法の開発を進めており、がん微小転移など個体において非常に少数な細胞によって引き起こされる生命現象の定量的解析に成功している。本研究では、新規炎症プローブを用いた微小炎症の検出系、位相的データ解析と呼ばれる数理学的手法を取り入れた臓器レベルでの画像解析系、XY平面方向にサイズの制限がない新たなオープントップ型ライトシート蛍光顕微鏡を用いた観察系を確立した。 課題提案者らはゲートウェイ反射によって生じる”病気の芽”を高感度に検出するための新規炎症プローブとして配位金ナノクラスター(AuNCs)に着目した。配位金ナノクラスターは、可視光から近赤外までの広い領域で長寿命かつ大きなストークシフトを持つユニークなフォトルミネッセンス発光特性、高い相溶性、および光安定性が報告されており、長期間のイメージング、高感度な検出、標的特異的な治療のための蛍光プローブの良い候補として知られていた。配位金ナノクラスターの中でも、特に正20面体の金コアモチーフを持つAu13クラスターは、作製が容易、堅牢かつ近赤外領域で適度に強いフォトルミネッセンスが得られるため全身の微小炎症を捉えることが可能な新規炎症プローブとして使用が可能であると考えた。実際にミエリン・オリゴデンドロサイト・プロテイン由来ペプチド(MOG35-55)によって誘導される実験的自己免疫性脳脊髄炎マウスの第5腰髄の背側血管周辺で生じた微小炎症をAu13クラスターで検出可能かどうかを検討したところ、CD4+T細胞を含む病原性免疫細胞の動員をきっかけに微小炎症が段階的に進展する様子を可視化することに成功した(Naim et al., Bio-protocol, 2023)。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、多発性硬化症をモデルとして微小炎症の多次元的な発生・消滅・増幅・定着機構を解明するために、申請者らが開発してきた全身全細胞を1細胞解像度で網羅的に観察するための組織透明化技術および大容量画像の解析技術を応用発展させ、新規微小炎症検出系を確立した。確立した微小炎症プローブを多発性硬化症モデルマウスに対して用いることで、微小炎症の発生からその増幅による慢性炎症への発展、その消滅による未病状態の維持まで、時空間的に微小炎症ネットワークのダイナミクスを定量的に解明することが可能となると考えている。北海道においては再生医療に基づく新規治療法の実用化を目指す複数の企業が存在している。本技術は個体内に存在する微小炎症を定量的に評価することが可能であるため、微小炎症の制御による新規再生医療技術シーズの創出・検証に貢献が可能であると考えている。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Dupuytren’s contracture-associated SNPs increase SFRP4 expression in nonimmune cells including fibroblasts to enhance inflammation development2023
Author(s)
Hiroaki Kida, Jing-Jing Jiang, Yuichiro Matsui, Ikuko Takahashi, Rie Hasebe, Makoto Kondoh, Yasuhiko Nishio, Kinya Nishida, Yoshihiro Matsuno, Tsukasa Oikawa, Shimpei Kubota, Shintaro Hojyo, Norimasa Iwasaki, Shigeru Hashimoto, Yuki Tanaka, and Masaaki Murakami
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Journal Title
International Immunology
Volume: -
Pages: dxad004
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Zoobiquity experiments show the importance of the local MMP9-plasminogen axis in inflammatory bowel diseases in both dogs and patients2023
Author(s)
Takeshi Yamasaki, Noriyuki Nagata, Toru Atsumi, Rie Hasebe, Yuki Tanaka, Izuru Ohki, Shimpei Kubota, Yuta Shinohara, Yong Bin Teoh, Nozomu Yokoyama, Noboru Sasaki, Kensuke Nakamura, Hiroshi Ohta, Takehiko Katsurada, Yoshihiro Matsuno, Shintaro Hojyo, Shigeru Hashimoto, Mitsuyoshi Takiguchi, Masaaki Murakami
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Journal Title
International Immunology
Volume: -
Pages: dxad006
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A hybrid open-top light-sheet microscope for versatile multi-scale imaging of cleared tissues2022
Author(s)
Glaser AK, Bishop KW, Barner LA, Susaki EA , Kubota SI, ..., Huang H, Reder NP, Wilson JJ, Sivakumar R, Shamskhou E, Stoltzfus CR, Wei X, Hempton AK, Pende M, Murawala P, Dodt HU, Imaizumi T, Shendure J, Beliveau BJ, Gerner MY, Xin L, Zhao H, Tru LD, Reid RC, Chandrashekar J, Ueda HR, Svoboda K, Liu JTC
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Journal Title
Nature Methods
Volume: 19
Pages: 613-619
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] An analysis modality for vascular structures combining tissue-clearing technology and topological data analysis2022
Author(s)
Takahashi K, Abe K, Kubota SI, Fukatsu N, Morishita Y, Yoshimatsu Y, Hirakawa S, Kubota Y, Watabe T, Ehata S, Ueda HR, Shimamura T, Miyazono K.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 13
Pages: 5239
DOI
Peer Reviewed
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