2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト多能性幹細胞を用いた3次元的先天性側弯症・脊椎肋骨異形成症モデルの確立
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22K15442
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山中 良裕 京都大学, 高等研究院, 特定研究員 (40900121)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発生生物学 / 幹細胞研究 / 病態再現 / 体節形成 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物の分節化されたボディープランは体節形成の過程で確立される。体節形成は、モデル生物においてよく研究されているが、ヒトでのこの過程の詳細は、倫理的および技術的な制約があるため、ほとんど分かっていない。最近、多能性幹細胞を用いた手法が進歩しているが、ヒトの体節形成を空間的、時間的な両方の特徴をロバストに再現するモデルは十分ではない。今回申請者は、多能性幹細胞由来の中胚葉を基盤とする、ヒトの分節形成および体節形成の3次元モデル(「アクシオロイド(axioloid)」と名付けた)を確立した。アクシオロイドは、in vitroにおいて分節時計の振動動態と、連続的な体節形成の形態学的および分子的な特徴を正確に捉えている。アクシオロイドは、形成中の分節において、生体内で認められる特徴と同様の、適切な頭尾軸パターン形成と、FGF-WNTシグナル伝達勾配やレチノイン酸シグナル伝達構成要素のロバストな前後パターンを示した。レチノイン酸シグナル伝達は形成中の分節の安定化において予想外に重要な役割を果たすことが明らかになり、レチノイン酸と細胞外マトリックスが体節の形成と上皮化において、それぞれの役割は異なるが相乗効果を及ぼすことも示された。ヒト胚との比較解析から、アクシオロイドとヒト胚に顕著な類似性があることが実証され、さらにアクシオロイドにはHoxコードが存在することが検証された。そのうえ、HES7およびMESP2に変異を持つ人工多能性幹細胞を用いることで、アクシオロイドはヒトの先天性脊椎疾患の病因を研究するのに有用であることが示された。さらに、誘導条件を最適化する事で、よりヒト胚に近い、体節だけでなく神経管も備えたアクシオロイドを誘導することにも成功した。我々の結果は、アクシオロイドがヒトの体軸の発生と疾患を研究するための有望なプラットフォームであることを示している。
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Research Products
(1 results)